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#023

WAX 蜜蜂テレビの発見

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制作者
デビッド・ブレア

制作年
1991年

 
佐々木友輔

佐々木友輔
美術館・図書館
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映画はこの世界の過剰さをどれほど内包できるのか

どん欲な映画だ。カインとアベル、テクノロジーとオカルト、仮想現実、踊る蜜蜂、原爆実験、湾岸戦争がもたらした新たなメディアイメージといったモチーフがあらゆる映像技術を駆使して高密度に圧縮され、映画という枠組がギシギシ軋み揺れる。いまや郷愁すら感じられるヴィデオの手触りや衒学的な装いに惑わされてはならない。情報環境の拡大によって映画という制度の自明さが突き崩されつつある今こそ再考されるべき作品である。

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#022

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制作者
セミフ・カプランオール

制作年
2007年

 
稲垣遊

稲垣遊
日本画学科研究室
助手

人物(物語)と背景(映像)が寄り添う、静かで美しい映画

舞台となっているトルコの町並みや自然は変化に富み、それぞれのシーンは人物を配した風景画のように慎重に切り取られている。青い壁面に囲まれた懐古的な調度品を楽しめる室内風景も魅力的だ。朝は薄暗く、夜はしっかりと暗い画面はときに状況把握にも時間がかかるが、ゆっくりとした映画の流れはそれを許してくれる。音楽もなく、物語は淡々と進行する。それぞれの場面に意味を感じられるので、じっくりと向き合える映画だと思う。

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#021

草上の朝食

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制作者
プリート・パルン

制作年
1987年

 
木村美佐子

木村美佐子
美術館・図書館
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絵画へのオマージュとしてのアニメーション

独特のグラフィックで不条理な世界を描き上げるエストニアのプリート・パルン監督が、マネの絵画をモチーフに作成したアニメーション。社会主義体制を象徴する暗い町並みの中に交錯する4人の男女の日常。陰鬱な空気を潜り抜け集結した水辺で、女たちは惜しげなく服を脱ぎ、男たちは草上でくつろぐ。「草上の昼食」が完成に至るまでの展開は実に奔放で爽快。それこそがマネへの賛辞と言えるだろう。