古賀祐馬
美術館・図書館
世界初の電子楽器。
開発者はレフ・セルゲーエヴィチ・テルミン博士。
聞いたことはあるが弾いたことはない楽器の代名詞とも言える、謎の楽器。
テルミン博士自身も数奇な人生を歩んだ、謎の人物。
そんなテルミンとテルミン博士の記録、それが本書。
まるで映画のようなテルミン博士の人生に、ページが進む。
前田奈津子
美術館・図書館
『飼い喰い』タイトルが潔い。
牛や豚が肉になるまでを取材し続けてきた著者は、彼らの「生前」のことを知りたくなり、豚を飼い育てることを思いつく。
女ひとりで某養豚の産地に廃屋当然の家を借り、軒下で3匹の子豚を育て、屠畜場に出荷し肉にして食べる(!)までを文章と細密なイラストで記録したルポルタージュ。
今の養豚・屠畜事情にも触れられている。
文章や写真では伝えづらい部分をうまく補足しているイラストが絶妙。
表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。
鈴木紀慶
空間演出デザイン学科
レム・コールハースは、日本で起こった運動「メタボリズム」を知るために、まずはその運動と距離をおいていた磯崎新から話を聞き出す。川添登、槇文彦、そして今はなき菊竹清訓、黒川紀章といったメタボリズムの建築家にインタビューをする貴重な歴史資料。ここ数年日本の建築に興味をもった海外の学生がインターンで日本に来るケースが増えていると聞く。それはこの本(英語版)が少なからず影響を与えているのではないだろうか。
ただ、レムの前著『S,M,L,XL』のADを担当したブルース・マウを意識してなのか、イルマ・ブームの本のデザインも過激で、ショッキングピンクを多用した紙面は文字が読みづらく、目が疲れるのが難点。