October 16, 2017(Mon)-November 18, 2017(Sat)
民俗資料室ギャラリー展示(25)
Shimekazari-formation of people’s devotion
Folk Art Gallery Past
- Date
- October 16, 2017(Mon)-November 18, 2017(Sat)
- Time
- 10:00-17:00
- Closed
日曜日、祝日
※10月29日(日)は特別開室- Admission
無料
- Venue
武蔵野美術大学13号館2階 民俗資料室ギャラリー
- Organizer
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- Supporter
森須磨子
武蔵野美術大学 美術館・図書館 民俗資料室では、展覧会「しめかざりー祈りと形―」
を開催いたします。
このたび当館では、本学卒業生でしめ飾りの研究をされている森須磨子氏から、269点のしめ飾りと関連資料をご寄贈いただきました。これらの殆どは森氏が全国各地を回って自ら収集されたもので、人々の祈りと暮らしの中で育まれてきた造形とデザインの多様性を見渡すことが可能となる貴重な資料群として位置づけることができます。
神社などでは社(やしろ)や神木に巡らされたしめ縄が見られますが、しめ縄の「しめ」には場所を占めるという意味があります。しめ縄が張られた内側は神がいる神聖な場所であり、しめ縄は我々が暮らす俗世界との境界を示すものとして古くから神事などで用いられてきました。はっきりした時期はわかりませんが、土佐日記に記述があることから、平安時代にはしめ縄が正月飾りとして用いられていたようです。江戸時代以降は、各地の風土や習慣に合わせて、しめ縄に作り手の創意を加え装飾を付けたしめ飾りが作られるようになり、新年の幸福と豊作をもたらすお正月の神様である年(とし)神(がみ)様を迎えるため、今も門や玄関などに飾られます。
しめ飾りは、正月が終わると取り外され、神社などで行われる火祭り「どんど焼き」で燃やされます。しめ飾りを焼き、その煙に乗って年神様に天に帰って頂く、それは新年を迎えることができたことへの感謝であり、しめ飾りの大切な役割のひとつでもあります。
近年では生活様式や住環境が大きく変わりつつあります。新築される家屋では神棚を備えないことも多くなりました。加えて価値観が多様化する中で、しめ飾りの持つ意味や形が伝統や祈りに重きを置いたものではなく、もっと気軽に年末年始を迎える、手軽な飾り付けを楽しむという受け止め方に変わってきたように感じられます。
本展では、日本各地で稲藁を用いて伝統的な手法により作られたしめ飾りの姿をご覧いただきたいと思います。中には伝承者の途絶えたものもあるのではないでしょうか。それぞれのしめ飾りの背景にある歴史や、しめ飾りに込められた作り手の気持ちを思いつつ、人々によって育まれてきた日本の伝統的デザインの面白さに目を向けていただければ幸いです。
しめ飾りは大きく牛蒡(ごぼう)ジメ、大根(だいこん)ジメ、前垂(まえだ)れ、玉飾(たまかざ)り、輪飾(わかざ)りの五つの傾向に分けることができます。
本展ではご寄贈いただいたしめ飾りをそれらの傾向ごとに分類し、さらに宝船などの「縁起物」、鶴亀などの「生物」など特徴あるテーマで選んだ約100点を展示します。展示方法は、一部を除いてしめ縄部分の造形をよくご覧いただけるように、装飾を付さない状態での展示となります。稲藁は、新しいときにはしなやかさと強さを兼ね備えた扱いやすい素材ですが、劣化が早く虫害も多いため保存が難しいという難点があります。その稲藁で作られたしめ飾りは、最後は燃やされることで使命を全うするという消耗品的な側面を持つため、過去のものはほとんど残っていません。
今回の展示はしめ飾りをより良い状態でまとめてご覧いただける貴重な機会になることでしょう。