October 21, 2013(Mon)-December 21, 2013(Sat)
The Works of Koga Hirano: 1964-2013
Museum Past
By examining all the works of Koga Hirano, a leading Japanese graphic designer, ranging from bookbinding, creating posters, flyers, and typeface designs, to art directing, this exhibition provides an intimate look into the original world of Koga Hirano.
- Date
- October 21, 2013(Mon)-December 21, 2013(Sat)
- Time
- 10:00ー18:00(土曜、特別開館日は17:00閉館)
- Closed
日曜日、祝日(10/27(日)、11/4(祝)は特別開館日)
- Admission
無料
- Venue
武蔵野美術大学美術館 展示室3
- Organizer
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- Co-organizer
武蔵野美術大学 造形研究センター
- Supporter
スタジオ・イワト/武蔵野美術大学 視覚伝達デザイン学科研究室
- Grant
公益財団法人 花王芸術・科学財団
本展では平野甲賀が半世紀かけて7000冊以上手がけた装幀作品から選りすぐりの300 冊、1960年代後半から70年代にかけてシルクスクリーンで作られたポスター、1990年代に発表したリトグラフ、これまで未発表だったポスター原画2点などを一堂に会し、1964年から2013 年までに手がけた仕事の全貌を紹介します。平野甲賀の作品には独特の「描き文字」が多く使われています。躍動するデザインとその文字はどこから生まれてきたのかを探ります。
平野甲賀は1938 年に父の赴任先、京城(現:ソウル)に生まれ、1957年武蔵野美術大学の前身、武蔵野美術学校に入学しました。在学中の1960 年、当時グラフィックデザイナーにとっての登竜門的存在であった日宣美展(日本宣伝美術会)において『見るまえに跳べ』(大江健三郎の小説)で特選を受賞しました。卒業後、高島屋宣伝部に入社、その後フリーデザイナーとして活躍します。
1964 年から1992年の30年弱にわたり晶文社の本の装幀を一手に担います。ひとりのデザイナーが一社の装幀を全て手がけるのは希有なことであり、カウンターカルチャーの旗手であった晶文社のスタイルを作り上げ、出版界に旋風を巻き起こしました。装幀の仕事は他社にもひろがり、文字通り数・質ともに装幀の仕事は平野甲賀にとって代表的な仕事となりました。
また、1960 年代半ばから平野は晶文社の編集者でもあった畏友津野海太郎とともに演劇活動に参加します。六月劇場、黒テントを中心に演劇ポスターやチラシを制作し、舞台装置も手がけました。当時の小劇場運動(アングラ)ではデザイナーたちによる数多くの名作ポスターが誕生しました。1973 年には植草甚一編集雑誌「ワンダーランド」のちの「宝島」のアートディレクターとなり、新鮮な誌面づくりで大変な反響をよびます。1984 年から高橋悠治らが始めたバンド「水牛楽団」、アジア民衆文化通信『水牛』の活動に加わり、演劇活動とは別の表現方法を獲得し、いまでも平野甲賀の根底を流れ続けています。同年木下順二『本郷』の装幀で講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞します。
2005 年には神楽坂上の岩戸町に「シアター・イワト」をオープン、ガレージを改装した120 席ほどの小劇場では、ライブ、寄席、朗読会などのプロデユースを行いまし
た。2012年には西神田に「スタジオ・イワト」として移転し2013 年まで活動しました。
これら平野甲賀の類まれな活動とともに生まれてきた「描き文字(コウガグロテスク)」の世界をお楽しみ下さい。
Highlights
装幀
平野甲賀が装幀したといわれる本は7000 冊以上に及ぶとも言われます。その総数は
本人すら把握できていないほど、多くの装幀を手がけてきました。その中から特に代
表的な装幀作品300 冊と、それぞれの装幀が生まれるアイデアをスケッチや版下な
どから探ります。
ポスター
平野甲賀の演劇ポスターは1970 年代の演劇を語る上では欠かせない存在であり、当
時のシルクスクリーン技術によって印刷された数多くの作品は、40 年以上たっても
色褪せることなく独特の世界を生み出しています。本展の為にポスターの原画2 点を
修復し、展示します。
舞台装置
平野甲賀は演劇ポスターを制作するとともに、舞台装置や舞台衣装のデザインも行い
ました。本展では演劇ポスターと共に展示することで、演劇に関わる仕事の全容を探
ります。
リトグラフ
装幀のための描き文字を1992 年から2年に渡りリトグラフ印刷し、個展「文字の力」
(東京、京都、神奈川、山梨、ニューヨークにて開催)で発表しました。本展で紹介する
リトグラフの中には実際には出版されなかった作品もあり、本展で初めて紹介する版
画作品となります。
チラシ
「シアター・イワト」「スタジオ・イワト」を中心に、平野甲賀デザインによるチラシを
展示します。
象形文字
平野甲賀の描き文字をフォント化した「コウガグロテスク」を使い、本学の学生ととも
に本を作りました。展覧会では平野甲賀自身によって本展のために作らた本とともに
学生による作品も合わせて展示致します。
Profile
平野甲賀 略歴
1938 | 父の赴任先の京城(現 ソウル)で生まれる。 |
---|---|
1945 | 終戦をむかえ、静岡に引きあげる。その後東京へ。 |
1957 | 武蔵野美術学校(現 武蔵野美術大学)デザイン科入学。 |
1960 | 在学中に日宣美特選入選。 |
1961 | 卒業後、高島屋宣伝部(宣研)入社。 |
1963 | 高島屋退社。アメリカ、メキシコへ旅行。帰国後、演劇集団「六月劇場」設立に参加(メンバーは津野海太郎、長田弘、岸田森、草野大悟、樹木希林、山元清多等)。舞 台装置、衣装、宣材のデザインを担当。 |
1964 | 晶文社刊『ウェスカー三部作』の装丁を手がける。事実上の装丁第1冊目。以後、91年まで同社の装丁のほとんどを担う。 |
1968 | 「六月劇場」「自由劇場」「発見の会」の有志による「演劇センター68」(のちの「黒テント」)結成。82年まで同集団のデザインを担う。 |
1973 | 雑誌「ワンダーランド」、のちの「宝島」を創刊。 |
1978 | 「水牛通信」「水牛楽団」の活動に参加(メンバーは高橋悠治、津野海太郎、鎌田慧、八巻美恵、柳生弦一郎等)。 |
1982 | タイ(「水牛楽団」ツアー)、ヨーロッパ、ロシアへ旅行。 |
1987 | 「水牛」終結 。 |
1984 | 「講談社出版文化賞」ブックデザイン賞、木下順二『本郷』で受賞。 |
1985 | 東京藝術大学美術学部デザイン科の非常勤講師を勤める(〜90年)。 |
1988 | 西武美術館「現代演劇のアート・ワーク 60’s-80’s」。 |
1992 | 「講談社出版文化賞」の選考委員になる。 装丁をリトグラフに再生した個展「文字の力」を東京、京都、神奈川、山梨、ニューヨークで開催(〜93年)。 |
1997 | 雑誌「季刊 本とコンピュータ」のアートディレクターに就任。 |
2000 | モリサワ第20回企画展「僕のタイトル作法 平野甲賀・描き文字装丁」。 |
2005 | シアター・イワト設立。 |
2007 | 描き文字フォント『コウガグロテスク06』発売。 |
2012 | 武蔵野市立吉祥寺美術館「モジもじ文字」。 |
2013 | 武蔵野美術大学 美術館・図書館「平野甲賀の仕事 1964 −2013 展」。 |