June 03, 2013(Mon)-August 18, 2013(Sun)
※6/9(日)、7/15(祝)、8/18(日)は特別開館日
Musashino Art University and Design III
Olivetti and Braun: Indicating Corporate Visions
デザインが語る企業理念:オリベッティとブラウン
Museum Past
The products and the corporate identity of Olivetti and Braun continue to have an impact today on companies and creators around the world. In this third installment of the “Musashino Art University and Design” series, the design essence of Olivetti and Braun are examined.
- Date
- June 03, 2013(Mon)-August 18, 2013(Sun)
※6/9(日)、7/15(祝)、8/18(日)は特別開館日
- Time
- 10:00ー18:00(土曜日、特別開館日は17:00まで)
- Closed
日曜日
- Admission
無料
- Venue
武蔵野美術大学 美術館 展示室4、5
- Organizer
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- Co-organizer
武蔵野美術大学 造形研究センター
- Advisor
柏木 博(武蔵野美術大学 造形文化・美学美術史教授)
松葉一清(武蔵野美術大学 造形文化・美学美術史教授)
このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では「ムサビのデザインⅢ ―デザインが語る企業理念:オリベッティとブラウン」を開催いたします。2011年に当館のリニューアル開館記念として始まったシリーズ展「ムサビのデザイン」の第3弾となる本展は、20世紀のプロダクト・デザイン史においてひときわ異彩を放つ、オリベッティ社とブラウン社に焦点を当てます。
1908年に北イタリアの小都市イブレアで設立されたオリベッティ社は、タイプライターの製造を出発点に計算機やオフィス家具などワークスペースで必要とされる様々な製品に活動領域を広げていきました。その発展を支えた要因のひとつは、企業思想を的確にとらえ卓越したディレクションの力を発揮した歴代のクリエイターたちの存在です。同社の製品が20世紀のオフィス空間に与えた影響ははかりしれません。
一方、1921年にドイツのフランクフルトで起業したブラウン社は、音響機器の製造をはじめとして、シェーバーや時計、ライターなど生活に身近なプロダクトを発表してきました。シンプルかつ機能的である製品はもちろんのこと、その製品と緊密な関係をもつコミュニケーションシステムなど、デザインがブランドイメージの構築にこれほどまで大きな役割を果たした例は、同社をおいて他に見られません。
確固とした企業理念に基づく両社の製品は、今日なお世界中の企業やデザイナーからクリエイションの指標と目されています。本展ではオリベッティ社とブラウン社が世に送り出した製品をはじめ、ポスター、製品カタログなどのグラフィック、そして販促用グッズなど当館所蔵の約200点を展示します。両社の活動軌跡をたどることは、デザインと企業理念の関係についてあらためて考える機会となるでしょう。
Highlights
Works
1-1 デザイン史に名を残すオリベッティ社の名品の数々
オリベッティ社のプロダクトは、今日なお世界中の企業やクリエイターを魅了してやみません。特に、マルチェロ・ニッツォーリ(1887-1969)やエットレ・ソットサス・ジュニア(1917-2007)、マリオ・ベリーニ(1935-)が手がけたプロダクトは、その独創的なデザインによって注目され、同社の躍進に大きく貢献しました。本展では、当館所蔵品の中からデザイン史に名を残す、オリベッティ社の名品の数々を紹介します。
<主なオリベッティ社の出品作品>
・「Lexikon 80」(1948)
トップカバーのふくらみが優雅な曲線を描くマルチェロ・ニッツォーリが手がけたタイプライター。
・「Lettera 22」(1950)
マルチェロ・ニッツォーリがデザインしたタイプライター。発売当初から人気を集め、現在でも多くの人々に愛されている。
・「Valentine S」(1969)
真紅のカラーリングが鮮やかな、エットレ・ソットサス・ジュニアとペリー・キングが手がけたタイプライター。
・「Summa 19」(1970)
黒地のボディと機構部を覆う黄緑色のカバーのコントラストが印象的な加算機。エットレ・ソットサス・ジュニアとハンス・フォン・クリアがデザイン。
・「Divisumma 18」(1973)
本体とゴム製のキー部分が黄色で統一された電子計算機。
・「Logos 55」(1973)
くさび型の外観と赤や青を配したキー部分が特徴。
1-2 オリベッティ社のプロダクトとグラフィック・デザイン
オリベッティ社のプロダクトが名を馳せた背景には、卓越したグラフィック・デザインとそれを支える優秀なデザイナーの存在がありました。ジョヴァンニ・ピントーリ(1912-1999) が中心となって趣向を凝らした広報活動が展開され、彼らが手がけたグラフィック・デザインは、同社の企業イメージの確立に大きく貢献しました。本展では、当館所蔵品の中から、ポスターや商品カタログ、取扱説明書など約80点を展示し、同社の企業理念やプロダクトとグラフィック・デザインの関係を探ります。
1-3 オリベッティ社の文化活動
オリベッティ社は文化活動にも力を入れました。美術展の開催や出版事業の他、地球環境保護の啓発ポスターを著名なアーティストに依頼して制作するなど、その活動は多岐にわたっています。本展では、ポスターや特装本など約40点を通して、オリベッティ社の文化活動を振り返ります。
<主な出品作家>
リチャード・バックミンスター・フラー(1895-1983)、アレクサンダー・カルダー(1898-1976)、ジョージア・オキーフ(1887-1986)、エドワード・スタイケン(1879-1973)、ロイ・リキテンスタイン(1923-1997)、ジャン=ミシェル・フォロン(1934-2005)、ポール・デイヴィス(1938-)
2-1 デザイン史に名を残すブラウン社の名品の数々
ブラウン社のプロダクトが世界中の企業やクリエイターに与えた影響は計り知れません。とりわけ、ディーター・ラムス(1932-)によってデザインされたプロダクトは、機能に即した端整な佇まいが、当時の人々に驚きをもって迎えられました。本展では、当館所蔵品の中からデザイン史に名を残す、ブラウン社の名品の数々を紹介します。
<主なブラウン社の出品作品>
・「SK 4」(1956)
ディーター・ラムスとウルム造形大学のハンス・グジェロが共同で手がけたラジオ・レコードプレーヤー複合機。発売当時、競合他社から「白雪姫の柩」と揶揄されたが、その革新的なデザインは多くの人々を魅了した。
・「T 3」(1958)
ポケット・トランジスタラジオ。アップル社のiPodのデザインにその影響が認められる。
・「T 1000」(1963)
ディーター・ラムスが手がけたワールドレシーバー。長波、中波、短波放送に対応し、当時のラジオとしては高度な受信性能が実現されている。また、持ち運びに耐えうるように、フラップを開くと周波数などを調節する操作パネルが現れる仕組みになっている。機能性と美しさを兼ね備えた、ブラウンを代表する製品。
・「sixtant SM 31」(1962)
ゲルト・アルフレート・ミュラーとハンス・グジェロがデザインしたシェーバー。黒一色で統一されたボディと白地のロゴが鮮やかなコントラストをなす。
・「ET 55」(1983)
ディーター・ラムスとディートリッヒ・ルプスによる電子計算機。機能ごとに特徴的な配色が施されている。白色のボディは限定モデル。
2-2 ブラウン社のプロダクトとグラフィック・デザイン
ブラウン社の歩みを振り返る上で、見逃してはならないのがグラフィック・デザインの存在です。ウォルフガング・シュミッテル(1930-)の手によって、寸分の狂いもなくコントロールされたグラフィック・デザインは、プロダクトのみならず、ブラウン社というブランドの価値を支えるものとなりました。本展では、当館所蔵品の中から、ポスターや商品カタログ、取扱説明書など約40点を展示し、同社のプロダクトのみならず、企業活動全般にグラフィック・デザインが及ぼした影響を探ります。