菊地智美
美術館・図書館
日本人の食文化に深く関わりのあるおこめ。おこめが作られる田んぼの上に移ろいゆく季節の変化はどれも綺麗で美しい。田植えの準備で水が張られた田んぼ、秋の収穫を祈ってマス目状にていねいに植えられた緑の苗、そして、一粒万倍穂に実らせ黄金の絨緞のような田んぼ。そんな四季の移り変わりとともに、米作りの物語を種まきから収穫まで通してみることのできる写真集である。これを見たら一粒のお米も愛おしく感じるだろう。
古賀祐馬
美術館・図書館
どこか懐かしいメロディ、神話、遺跡など、神秘に包まれた国アイルランド。本書はそんなケルトと日本を多面的に比較した、9名の研究者による論文集である。信仰、神話、妖怪(妖精)、装飾文様、文学などその考察範囲は広く、それぞれが非常に興味深い。大陸のほぼ東西両端という位置関係ながら、なぜ通じ合うものがあるのか。あの“懐かしさ”はどこから来るか?そのヒントが詰まっている。
著者
高村光雲
出版者
岩波文庫
出版年
1995年
鈴木久雄
共通彫塑研究室
明治大正期の木彫家、高村光雲の語りを、長男の高村光太郎と田村松魚が聞き書きした『光雲回顧談』の主要部分が文庫化されたもの。
幕末・明治の世相風俗と、維新に戸惑いつつも自身の木彫を切り開いていく木彫師光雲の有様が生き生きと鮮明に描写される。戦後が遠くなるにつれ近くなる幕末と明治期をあらためて顧みるべき今、必読の面白い本である。