前回9月14日(土)に行われた「展示の裏側 実践ワークショップ【展示台制作編】」に引き続き、壁建てと作品壁掛けについて、今回も美術系施工集団 Square 4の小滝タケルさん(本学 彫刻学科卒)を講師としてお招きしワークショップが実施されました。
作品そのものの強度や重さ、また展示する壁や環境によって壁掛けの方法が変わります。それぞれの作品・場に適した展示方法や工具を選ぶことによって安全に展示ができるだけではなく、作品自体の見栄えにも大きく影響します。また壁建てに関しては単に展示ができる壁を増やす目的だけではなく、空間を使ったインスタレーションといった表現にも応用できます。
壁建てについては垂木を用いて構造用ハシゴを制作した後、ラーチ合板と石膏ボードにて壁を建て、パテやペンキを用いて塗装しつつ制作を行なっていきます。特に繋ぎ目やタッカーを隠すためのパテを打った後、表面を研磨する際の注意点やその後の塗装方法については、前回の「展示の裏側 実践ワークショップ 【展示台制作編】」で学んだ内容が多く含まれていたため、復習にもなりました。
壁建てのレクチャーの後、実践をしながら壁掛けに関して学びました。
これは作品をかける際に必要なワイヤーのかしめ方のレクチャーです。ワイヤーやかしめは実際に展示する際は作品に隠れて見えませんが、丁寧にしっかりとかしめを行うことによってワイヤーの見栄えが良いだけではなく、ワイヤーそのものの強度を保ってくれます。
これはT字金具によって作品を固定している時のレクチャーです。この作業は特に作品自体が重い場合やモニターを壁掛けする際に行います。設置方法がずさんだと作品が落下する危険性があるだけではなく、壁自体にも甚大なダメージを与える可能性があります。
それぞれの作品の形態や場所にあった様々な設置方法を学びました。
最後にビスなどで壁に穴が開いた際に原状復帰のために必ず必要となるパテ埋めを学びました。パテには様々な種類があり、壁に合わせた素材を用いることによって、壁の仕上がりが変わります。
ファイン系・デザイン系関係なく、多くの美大生にとっては「壁掛け」というのは当たり前の作業となっていると思います。だからこそ、しっかりと学ぶことによって事故を防げ、また新たな作品や表現へと繋がるきっかけにもなることかと思います。「神は細部に宿る」という有名な言葉がありますが、展示の設営作業も含めて制作活動になるとあらためて感じた学生も多かったようで、それぞれにとって実りある1日となりました。