1971年11月24日(水)-12月18日(土)
遊びのかたち -組木・木のおもちゃ・凧絵-展
美術館 終了
- 会期
- 1971年11月24日(水)-12月18日(土)
- 休館日
日曜日、祝日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術資料図書館 1階展示室
- 主催
武蔵野美術大学美術資料図書館
この展示は、学内はもちろんであるが、社会的にもかなりの反響を呼んだ。NHK総合テレビにとりあげられたり、新聞や雑誌にも紹介された。以下に、カタログの展示の意図を再掲しておこう。
〈カタログから〉
わたしたちの周囲には無数の“遊びのかたち”がある。ここにそのうちの3つの“遊びのかたち”の出会いを見ることが出来る。
組木、西欧の木のおもちゃ、凧絵と、それらは幼い時期、いつもわたしたちの遊び相手であったものや、寒風の中を駈けめぐった少年時代の記憶をよみがえらせるものたちである。あるいは、年令にかかわりなく、そのときどきのわたしたちの自由な関心をしっかりとつなぎとめる対象としての“かたち”がある。これらの“遊びのかたち”は制作する人々の創ることに対する誠実さと、これらを手にする子供達へのやさしさ、そして豊かな想像力によって生みだされたものである。子供達にとって“遊び”とは、彼等の行動そのものでり、その成長の過程に対する深い洞察力なしには、これらは生まれない。そしてこの制作者違は、なによりもこのことを知っているといえよう。組木は山中組木工房の山中成夫氏にいたるまで四代にわたって伝承されてきた。江戸、明治、大正、昭和と制作された時代の反映を、それぞれの意匠に見ることができる。秀れた技術と組木に対するひたむきな努力が新しい組子の発見をうながしている。そしてそれは、組木としての完成度の高さと近代デザインの原型としての姿をわたしたちの前に示している。山中成夫氏の得意とする抽象的な形式のヴァリエーションも、 近代デザインの歩みとは直接かかわりをもたずに生きてき、17、8年前に柳宗理氏によって紹介されるまでは、わたしたちの親の世代にとってのなつかしいおもちゃとして親しまれてきていたものだ。
“木のおもちゃ”は、アトリエNIKITIKIのフーパ一葵氏と西川敏子氏の7年間にわたる滞欧中の収集品で、これらは制作する工房や、その制作者達とのふれあいを通じて集められたおもちゃである。そのほとんどが、近代デザインの洗礼を受けている“木のおもちゃ”達もそれぞれの風土が長年培かった民族的なかたちの祖型をその背後にうかがうことが出来る。これらのあるものは、1930年代のデザインが現在にいたるまで同じであるものもある。きわめてあたりまえの動物やのりもののデザインが、木の肌を生かしきっていて美しい。親が子に伝えてゆくことの出来るものとしてそれらは確かな構造を持ち、時間に耐え得る素朴な味を持っている。
凧絵は、そのあざやかな色彩と地方色豊かな構造の変化が面白い。凧こそ天高く飛びかう姿が望ましいのだが、都会の少年達にとっては、自然との交流を可能にする数少ない遊びのひとつなのだ。