1975年9月16日(火)-10月4日(土)
豊口克平教授・佐々木達三教授展
美術館 終了
- 会期
- 1975年9月16日(火)-10月4日(土)
- 休館日
日曜日、祝日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術資料図書館 1階展示室
- 主催
武蔵野美術大学美術資料図書館
豊口克平教授と佐々木達三教授は、わが国におけるインダストリアル・デザインとインテリア・デザインの大先達であり、ともに本学に昭和34年から工芸・工業デザインの基礎を築き、以来今日まで教育・研究に携わって来られたお二人の停年退職を機に、これまでの活動の総まくり展を企画したのが、この展示である。
豊口教授は、昭和初期において「型而工房」の運動を始めてから半世紀にわたって、日本のデザイン界の発展とともに歩んで来られた。この展示に際して次のように自らの仕事を語っておられる。「私の仕事は、個人ではできない性質のものです。すべて研究所のスタッフとともに研究し、完成し発表します。私の研究所は、ID部門・インテリア部門・ディスプレイ部門から成りたっています。一応専門別になっていますが、いつでも協力態勢をとって進められています。」
佐々木教授は、船舶のインテリア・デザインから出発して、昭和初期に企業内のデザイナーとして独自の歩みを続けられている。とくに材料技術の研究を中心にした活動は目ざましい。この展示に際して自らの仕事について、次のように語っておられる。「私の仕事は船舶のインテリア・デザインから始まり、造船艤装の技術から広く工業デザインに発展した。さらに材料技術の研究で、クラフトにかかわりを持つようにもなった。現在では工業デザインとリハビリテーションの問題に真剣に取り組んでいる。したがって私のデザインは幅広いものとなったが、根底は人と物との造形的かかわりを一貫して追求してきたつもりである。」
お二人とも、デザインという概念のない昭和の初期から活動され、まさにデザインの歩みをそのまま歩んで来られたということができる。1960年代のデザインの確立と、それ以後今日の混迷状況という歴史的な見取図の中で、半世紀にわたる両教授の活動をまとめて鳥瞰できる機会を持つことができたのは、今後のために極めて意義あることといわなければならない。それは、生活をする側からいっても、またデザインをする側からいっても言えるであろう。
しかもお二人ともデザイン教育を通して、自らの蓄積を後進のために伝達されて20年近くになる。それは本学がわが国で初めて産業デザイン学科を設立した道程に符合する。その間本学の卒業生たちの社会での活躍はめざましい。当館でも工芸工業デザイン・コースの卒業生たちの活躍の様子を、後輩たちに伝えるために「武蔵野美術大学工芸工業デザイン卒業生作品展」を昭和47年11月20日-12月16日に開催した。そこでは実りある教育成果の一端が、具体的なデザイン作品として結晶していた。