2016年9月5日(月)-11月12日(土)
あかり / AKALI
デザインされた日本の光
美術館 終了
19世紀半ばに西洋技術が輸入されるまで、1千年以上にわたり日本の「あかり」は独自の進化を遂げてきた。そこでは、光として炎をとり扱う技術に日本の文化風土が合わさり、世界でも類をみない多くの「あかり」がデザインされた。本展では当館所蔵コレクョンをもとに、「あかり」の全体像を俯瞰し、日本の光とそのデザインのエッセンスを掴み出す。
- 会期
- 2016年9月5日(月)-11月12日(土)
- 時間
- 10:00-18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日 ※10月2日(日)、10月30日(日)は特別開館
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室1、4、5
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 共催
武蔵野美術大学 造形研究センター
(21世紀鷹峯フォーラム連携事業)- 監修
藤原 工(武蔵野美術大学 造形研究センター客員研究員/株式会社 灯工舎)
このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では展覧会「あかり/ AKALI : デザインされた日本の光」を開催いたします。
当館が所蔵するあかりのコレクションは、昭和に活躍したあかり研究家である広瀬二郎氏が収集したあかり道具類がその中核を成しています。本展では、これらを中心に、本学独自の視点を加え、従来にない「あかり/AKALI」展を開催します。
日本のあかり(照明)文化はこれまでに二度の大転換期を迎えました。最初は幕末明治における文明開化です。ランプ、ガス、電灯といった西洋技術の輸入により、それまで1千年以上の長きにわたり培われていた日本のあかり、主に植物由来の油やロウを用いてきたほのかな光は徐々に淘汰されていきます。
二度目は第二次世界大戦です。資源のほとんどを戦争に費やした末の敗戦と、その後の社会の近代化により、照明のあり方も大きく変わりました。戦中の灯火管制を経て、戦後には、近年まで家庭用照明の中心を担ってきた蛍光灯が人々の生活に浸透しました。さらに、高度経済成長期をむかえた都市のあかりは、従来とは比べ物にならないほど明るく華やかになりました。そして現在、日本のあかりはLED、有機ELといった固体照明への光源シフトという、三度目の大転換期を迎えているのです。
今回、日本だけでなく世界でも同時に進行しているこの第三の転換期において、あかりを多角的な視点から再認識することは、日本独自の「あかりDNA」を世界へ発信する一つの重要な行為といえます。これまで西洋の照明技術を受け入れてきた日本のあかり文化ですが、全てを受容して完全に西洋化したわけではありません。現代においても日本独特の光に対する感性や文化は継承されています。時代や社会情勢によって形、素材などが変化しても、そこには日本のあかり文化のDNAが生き続けているのです。
本展では、当館が所有する1000点以上に及ぶあかりコレクョンによって日本のあかり文化の全体像を俯瞰し、これまでに築きあげられてきた日本の光とそのデザインのエッセンスを掴みだしていきます。また、展覧会に合わせて、「あかり」にインスパイアされた、新しい「AKALI」のデザインコンペティションを開催いたします。
展示構成
あかりの世界
1千年以上の長きにわたり培われてきたあかりの全体像を俯瞰します。
油や蠟燭、石油、ガス、電気などの燃料による変化、あかりの形や機能の変遷を視覚的に分かりやすいよう、大壁面を「あかり年表」に仕立て、実物を織り交ぜながら展示します。また、浮世絵など昔の絵画に見られる情景を再構成し、当時のあかり文化をご覧いただきます。
あかりのデザイン
数多くのあかりの中から、「あかりDNA」が色濃く表れている数点をピックアップして分析することにより、燃料、素材、形、機能、構造など特徴を捉え、「あかりDNA」を抽出します。
あかりの感覚
それぞれの資料が実際に使用されていた空間を再現することで、当時の「あかり空間」を体験していただきます。こうした「あかり感覚」を体感することにより、その中で培われてきた様々な日本文化への認識を新たにすることができるでしょう。