2014年11月17日(月)-12月13日(土)
井上耐子 時空を越えて
美術館 終了
本学日本画学科にて20年以上の長きにわたり教鞭を執られてきた三浦耐子教授(雅号 井上耐子)の自選回顧展。三浦教授は東京藝術大学在学中の1967年から法隆寺金堂壁画再現模写に参加。以降古典研究に打ち込み、文化庁依頼の模写事業にも数多く係わってきた。同時に古典の叡智を自身の作品の内へと昇華した作品を発表し続けてきた。本展では模写作品を含む自選作品を展示し、画家井上耐子のあゆみを振り返る。
- 会期
- 2014年11月17日(月)-12月13日(土)
- 時間
- 10:00〜18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日 ※11月30日(日)は特別開館
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室3
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 協力
武蔵野美術大学 日本画学科研究室
本展は、長年にわたり本学で教鞭を執られてきた三浦耐子氏が井上耐子の雅号で制作されてきた作品を展示し、画家としてのあゆみを振り返るものです。
井上氏は精力的な作品制作と並行して古典模写事業にも携わってきました。また教育者として本学でも模写を通して、学生たちに制作への姿勢と感性を伝えてきました。
井上氏の作品を間近にすることで日本画の魅力を感じるとともに、本学日本画学科研究室の教育の一端をうかがう機会となるでしょう。
会場は大きくふたつに分かれます。
ひとつは井上氏がこれまでに制作してきた作品より自選した約40点の展示です。
井上氏の制作の原点ともいえる卒業制作作品をはじめ、那須野、ラスコー、エトルリアの取材を通して制作された作品たちには、萌える草花、戯れる仔馬や幼子が描かれ、その清々しい画面からはいのちの芽吹きが感じられます。また、近年の海浜を題材とした作品は穏やかな波風の響きを感じさせ、氏の故郷である瀬戸内を思わせます。
もうひとつは、井上氏がこれまで取り組んできた貴重な古典模写作品の展示です。今回、特別に借り受けした「国宝東寺伝真言院曼荼羅」模写作品や井上氏の大学院修了制作作品である「孔雀明王図」模写作品を始め「重要文化財小野雪見御幸絵詞」模写、「重要文化財醍醐寺五重塔壁画板絵」模写、「国宝釈迦金棺出現図」線描(部分)「国宝山水屏風」線描(部分)など貴重な作品を展示します。
見どころ
出品作家紹介
井上耐子略歴
井上耐子氏は1945年香川県に生まれ、1968年に東京藝術大学美術学部絵画科日本画専攻を卒業後、同大学院保存修復技術講座に進み吉田善彦氏に師事します。また、同年には院展に初入選も果たしています。東京藝術大学在学中より法隆寺金堂壁画再現模写事業に従事し、古典から日本画の表現方法と伝統技法、高い精神性を学ぶことの重要さを感じ、積極的に模写事業に取り組みます。1974年に「国宝東寺伝真言院曼荼羅(胎蔵界曼荼羅図)」を再現模写、また文化庁より依頼を受けて1976 ~77年に「国宝釈迦金棺出現図」を、1982 ~ 83年には「国宝山水屏風」の模写事業に参加するなど、古典研究に傾注してきました。
同時にそうした古典の叡智から学んだことを創作の源泉とし、ひたむきな制作活動を通して新たな日本画の可能性を模索してきました。1980年神奈川県展では「風の路」が次席に、1995年の第80回院展では「夢見る香里」が特待推挙となっています。1968年の初入選より本年に至るまで、毎年院展にて作品を発表し続けてきました。そうしたなかで、1991年からは指導者として本学日本画学科で後進の育成にもあたってきました。