2014年9月8日(月)-10月27日(月)
ポーランドのポスター フェイスあるいはマスク
美術館 終了
20世紀において日本とは政治的、社会的背景が大きく異なるポーランドのポスターを紹介する展覧会。ポスターに数多く描かれた「顔」に着目。描かれた「顔」に込められた直接的な表情あるいはマスクを被ったような間接的メッセージを読み解くことで、ポーランドにおけるポスターの意味を再考し、独特の表現が生まれた源流をたどる。
- 会期
- 2014年9月8日(月)-10月27日(月)
- 時間
- 10:00~18:00(土曜日、特別開館日:17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日 ※9月15日(月・祝)、10月26日(日)は特別開館
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室3
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 協力
ポーランド広報文化センター
- 後援
ポーランド共和国大使館
20世紀後半、日本とは政治的、社会的背景が大きく異なるポーランドでは、ポスターの商業的要素が排除されただけではなく、表現自体においても独自の道を作り上げてきました。1960年代から1970年代にかけてはポーランド・ポスターの黄金期と言われ、数多くのポスター作家が生まれるとともに、検閲下においても多様な表現が生み出されました。1970年以降は西欧諸国とは大きく異なる状況下にありながら、ポップアート的な表現が現れるなど、世界で同時多発的に起きたポスター表現をみることも出来ます。これは、1966年から現在まで継続して行われている「国際ポスタービエンナーレ」による影響が強くうかがえます。
不思議なことに、どの時代においても、ポーランド・ポスターには数多く「顔」が描かれました。その「顔」には、直接的な情報の伝達である『描かれた言葉』に加え、検閲への批判や社会批判、政治批判を訴えるマスクを被ったような『隠された言葉』が込められました。描かれた「フェイス」あるいは「マスク」に込められたメッセージは、当時のポーランドの社会背景を表すとともに、比較的自由な表現が許されたといわれるポスターにおいても厳しい監視の下で、デザイナーが試行錯誤した跡を読み取ることが出来ます。
1989年の民主化以降、社会の仕組みは大きく変化しますが、ポスターにとって「顔」は現在にも継承される重要なテーマの一つであり続けています。
本展では、173点のポーランド・ポスターを紹介し、それぞれの「顔」に込められた時代ごとの社会性を明らかにします。また、ポスターの持つ重要な機能である「相互作用」と「コミュニケーション」について再考し、独自の表現が生まれた源流をたどります。
見どころ
出品作品
1.「ポーランド派」としても名高いポーランドのポスターを「顔」というテーマから展示します
20世紀後半、「ポスターのポーランド派」と呼ばれ、独自の表現を生み出してきたポーランドのポスターは、これまで主に、歴史的、編年的視点から展示、考察されてきました。
本展では、ポーランドのポスターを新たな視点から紹介すべく、「顔」というテーマを設定し、背景にある政治や文化、社会的視点から読み解きます。
2.ポスターから20世紀ポーランドの激動の時代を映し出します
ポスターは宣伝告知のメディアですが、第二次大戦後、共産主義圏に入ったポーランドでは、厳しい検閲や監視を潜りぬけて、政治や体制に対する不満、不安を暗に主張する手段ともなりました。
既存の体制への挑戦は、ポスターの「顔」からも探ることができます。時代を反映した「顔」から、ポーランドという翻弄と抵抗に満ちた国の激動の20世紀を映し出します。
3.「相互作用」「コミュニケーション」というポスターの機能を再考します
ポーランド・ポスターの特徴は、独自の比喩的様式をもった絵画的表現といえます。「顔」は、人々が共有する不満や人間の欲望、そして生きる喜びのアレゴリーやメタファーとして描かれています。また、一見不可解なモティーフは、それを見るものとの対話を導きます。メッセージ性以上にそこに起こる相互作用やコミュニケーションに注目した結果であるこれら特異な表現から、ポスターというメディアがもつ機能を改めて考えます。
主な出展作家
ヘンリク・トマシェフスキ/ヤン・レニツァ/フランチシェク・スタロヴィエイスキ/ロマン・チェシレヴィチ/ヴァルデマル・シフィエージ/エウゲニウシュ・ゲット・スタンキェーヴィチ/ミェチスワフ・ヴァシレフスキ/ヴィエスワフ・ロソハ/イエジ・チェルニャフスキ/アンジェイ・ポンゴフスキ/スタシス・エイドリゲヴィチウス/レフ・マイェフスキ/ヴィクトル・サドフスキ/ヴィエスワフ・ヴァウクスキ