2012年10月22日(月)-11月17日(土)
(特別開館日:10月28日)
近現代のブックデザイン考 I
書物にとっての美
美術館 終了
日本の近現代における優れたブックデザインを通覧。活版印刷にはじまる本の要素と構造、その表現の魅力を読み解く。
- 会期
- 2012年10月22日(月)-11月17日(土)
(特別開館日:10月28日)
- 時間
- 10:00-18:00(土曜、特別開館日:17:00閉館)
- 休館日
日曜日(ただし特別開館日をのぞく)
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学 美術館 展示室2
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 共催
武蔵野美術大学 造形研究センター
- 監修
新島 実 (本学視覚伝達デザイン学科教授)
寺山祐策(本学視覚伝達デザイン学科教授)※共同監修
白井敬尚(本学視覚伝達デザイン学科教授)※共同監修
このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では「近現代のブックデザイン考 Ⅰ」展を開催いたします。
わが国における近現代の文芸書の造本に目を向けると、様々な書物文化の諸相が見えてきます。そこには西欧の芸術運動の影響を受けながらも日本の伝統美との融合を計った美しい書物が多数見られます。また他方で著者自らの考えによって制作された抑制のきいた美しさを持つ書物も見られます。さらに画家の個性の表出によって包まれた書物や、装丁家によって制作された書物までと、近現代における文芸書の造本の世界は、言葉(文学)と形(美術)の関係が書物を通して自由に混じり合い、豊かな視覚造形の世界を作り上げています。
本展では当館所蔵のコレクションの中から約250点を選び、これらの書物を「造本の美」「装丁の美」「本文の美」の三つの視点からとらえ直し、明治から昭和までの間で、主に活版印刷によって制作出版された「書物の美しさ」を探ります。
見どころ
出品作品
<造本の美>
近代における書物の造本には制作者の拘り、造本哲学が強く映し出されています。書物を手にしたときの感触にたいする拘りから、物としての存在感を極めた書物、言葉以外の全てを排除し、言葉と文字との関係だけの美を求めた書物など、多様な世界が広がっています。ここでは限定本から叢書までの造本の美を探ります。
(出展構成)
・作家の手になる書物
・夏目漱石と堀辰雄の造本
・恩地孝四郎の造本
・寿岳文章の造本
など
<装丁の美>
夏目漱石や北原白秋など、自著を独自の美意識で装丁した書物から、恩地孝四郎や武井武雄などの装丁家によって飾られた書物。さらに画家たちが手がけた装丁にも注目し、近代から現代に至る過程でデザインの合目的な制作態度から置き去りにされてきた「装丁の美」を辿ります。
(出展構成)
・近代における装丁
・文学者と装丁者
・画家の手がけた装丁
・装丁家の仕事
など
<本文の美>
近代における書物の活字による組版には、欧文タイポグラフィのオーソドックスな組版に負けないほどの組み上がりを見せている例が多数見られます。これは漢字かな混じり文に起因します。日本語組版の作り出す強いコントラストは可読性を担保すると同時に美しいページをつくり出すためには、版面に対する文字組版の微妙なコントロールが求められます。この項では版面と組版の関係から本文の美を再考します。
(出展構成)
・記述形式と和文組版
・扉から本文、奥付に至るページ展開の美
・明治、大正、昭和時代の本文組の美
・版面と本文組版
など