2008年10月6日(月)-10月25日(土)
槿(むくげ)の画家 柳瀬正夢展
美術館 終了
- 会期
- 2008年10月6日(月)-10月25日(土)
- 時間
- 10時00分-18時00分 [土曜日は17時00分まで]
- 休館日
日曜 祝日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術資料図書館1階展示室
- 主催
武蔵野美術大学美術資料図書館
- 協力
漫画資料室MORI
- 監修
及部克人(武蔵野美術大学 視覚デザイン学科教授)
本学の柳瀬正夢コレクションは、柳瀬信明・利子夫妻よりご寄託・寄贈から今年で20周年を迎えます。これを記念して美術資料図書館では、これまで開催した『没後四五年 ねじ釘の画家 柳瀬正夢展』(1990年)、『柳瀬正夢 疾走するグラフィズム』展(1995年)に続いて、柳瀬正夢を紹介する三回目の展示を企画いたしました。
柳瀬正夢は、15歳で院展に入選して以来、油絵、漫画、装幀、ポスター、舞台装置など多様なメディアで活躍しました。大正アヴァンギャルドにかかわる先端的な彼の仕事は、当館に寄託された1990年以来(1992年寄贈)、2007年までに全国各地の61の展覧会で紹介されています。
今回の展示では、柳瀬正夢の初期諷刺漫画、プロレタリア漫画、コミック漫画への変遷過程に注目しました。若いしなやかな初期諷刺漫画、国家権力に真正面から対抗するプロレタリア漫画、厳しい状況下で読売新聞の漫画部門で子どもの夢を追う連載漫画=コミック漫画に対するそれぞれの挑戦において、読者を魅了するストーリーをつくり出し、そのしなやかな造形力を発揮するなど、多彩な足跡をご覧いただくことができると思います。
柳瀬正夢は、1936年の「若き作家へ」という文章の中で漫画家と画家の関係について、「現代の画家一般は全て漫画家でなくてはならない」「漫画家的方法によって、出発せねばならない」と言っているように、画家であることよりも、漫画家として生きてきた事に誇りを持ち、すぐれた漫画こそが芸術であるという確信をもっていたことが理解できます。
本展の開催にあたっては、「漫画資料室MORI」を主宰される片倉義夫氏、ならびに『魯迅と木刻』の著者であり、魯迅を通して柳瀬正夢を追求された奈良和夫氏のお二人のコレクションから多くの資料の出品をいただき、その収集意図や作品内容についての解題にもご協力をいただきました。