2011年6月24日(金)-7月30日(土)
コレクションと教育でたどるデザイン史
ムサビのデザイン
美術館 終了
開館以来収集してきたデザイン資料と、本学で行われてきたデザイン教育で近代デザイン史を通覧する。
- 会期
- 2011年6月24日(金)-7月30日(土)
- 時間
- 10:00-18:00(土曜日:17:00閉館)
- 休館日
日曜日・祝日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学 美術館展示室3
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 共催
武蔵野美術大学 造形研究センター
1967年武蔵野美術大学は教育研究の中核的な施設として「美術資料図書館」を創設しました。以降45年間にわたり、当館は美術大学の文化施設ならではの活動を展開してきました。2010年には図書館新棟の竣工と、旧図書館棟の美術館棟へのリニューアル着工を契機に、館名を「武蔵野美術大学 美術館・図書館」と改め、この春、美術館棟のリニューアルが完了しました。
このたび新たな大学美術館の開館を記念し「ムサビのデザイン」展を開催いたします。
当館のデザインコレクションは、60年代に本学で教鞭を執っていた原弘(1903〜1986)、豊口克平(1905〜1991)をはじめとする表現者であり、教育者でもあったひとびとの見識を出発点に、各々の時代ごとに本学の教育現場の要請を受け入れ、発展的に形成されてきました。一方で、体系づけて形成されてきたコレクションは、展覧会で公開に供するという利用にとどまらず、全学のデザイン教育の場に還元されてきました。その経緯を踏まえると、当コレクションは本学のデザイン教育の現場から近代デザイン史に投げかけられた視線の結晶と位置づけられます。
本展はポスターと椅子を核にテーブルウェア、家電、玩具、そして貴重書、貴重雑誌という当館が近代デザインコレクションとして収集してきた約35,000点から精選した500点にてコレクションの全貌を概観する初めての試みです。また、この開館記念展は、当館がわが国における「デザインミュージアム」の発展を後押しする筆頭格であることをねらいとして企画しました。
本学のデザイン教育との密接な関わりのもと、先達によって構築されてきたデザインコレクションの見どころを一挙に公開し、近代以降のデザイン史と本学におけるデザイン教育について様々な角度から考察できるこの機会を、是非お楽しみください。
「名作でたどるデザイン史」
新しい美術館のもっとも広い展示室(400m²)をメイン会場とする本展では、当館コレクションの中から精選したポスター160点と近代椅子40脚が、主たる展示となります。ポスターも椅子も当時のデザインを色濃く映し出す象徴的な存在として、時代を表象していることが理解できるでしょう。まさに「名作でたどるデザイン史」です。
「メディアと近代デザイン運動」
本展のメイン会場では、グラフィックデザイン、プロダクトデザインの運動に主導的な役割を果たした「さまざまなメディア」を、作品とともに展示することにより、近代デザイン史を、複眼的な視点から見つめなおす機会とします。
グラフィックデザインの分野においては、19世紀末から20世紀にかけて世界のデザイナーたちの表現の場でもあった国内外の美術・デザイン雑誌をはじめ、万国博覧会やオリンピック、世界デザイン会議などの国家的な催事にあたって、その時代の先端を担ったデザイナーを動員して制作出版された資料群をはじめ、書物の芸術性と深い関わりをもつタイポグラフィ見本帳など多面的な展示を心がけます。
プロダクトデザインの分野からは、銀、陶磁、鉄、ガラス、プラスチックなど様々な素材によるテーブルウェア、照明、時計、オーディオなどの家電が出展されます。オリベッティ、ダネーゼ、ブラウンといった明確なデザインポリシーで名高い企業のプロダクトも体系立ててご覧いただけます。同時に、ネフ社に代表される知育玩具類も展示します。
「デザイン教育を体験」
本展では、一部の作品について本学の教員が展示品を解説する映像をあわせて展示します。展示作品の解説はもちろんのこと、当館に収集されてきた経緯や、教育研究の場での有効活用についても語られます。展覧会の場で、本学のデザイン教育と関連する授業を追体験できるのは、大学美術館ならでは試みです。
「モダンチェアでたどるデザイン史」
美術館棟のリニューアルで新設されたスペースの一つが「椅子ギャラリー」です。椅子コレクションのための作品庫であり、同時に、当館が所蔵する近代椅子コレクションを体系的かつ、より美しく、よりわかりやすく公開するためのスペースです。
「椅子ギャラリー」は、在学生が作品を眼前に授業を受けるための場で、通常は学内向けの限定空間ですが、椅子コレクションのための展示室として会期中は特別公開されます。
本展のメイン会場に展示される40脚とは別に100脚の椅子を展示し、モダンチェアによる近代デザイン史の潮流が一望できるように構成します。