緊急のお知らせ

2020年05月02日

美術館の臨時休館期間の延長について

本学の入構禁止期間が延長されたことに伴い、美術館も臨時休館を延長します。
美術館で開催を予定していた各展覧会の会期も変更になります。
会期が決まり次第、こちらでお知らせします。
何卒ご了承のほどよろしくお願いします。

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展覧会・イベント

※会期が変更になります。決定次第、お知らせいたします。

オムニスカルプチャーズ —— 彫刻となる場所

美術館

現代彫刻を牽引する作家たち―戸谷成雄、舟越桂、伊藤誠、青木野枝、三沢厚彦、西尾康之、棚田康司、須田悦弘、小谷元彦、金氏徹平、長谷川さち―による試み。彫刻をめぐる彼らの様々な考え方、それらを形象化する多様な表現によって、作品はそれぞれ固有のベクトルを持つ。11名による全方位的な彫刻が交錯し、互いに応答あるいは対峙することで、特徴ある建築空間のなかで共生する。さらに杉戸洋の展示レイアウトによって、想定外の展開が誘発されることで、会場は一つの表現体として新たな彫刻の可能性を示す。

画像:本展準備風景(右から、戸谷成雄、杉戸洋、三沢厚彦)2019年10月 戸谷氏アトリエにて

時間
10:00-18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
休館日
日曜日・祝日
入館料
無料
会場
武蔵野美術大学美術館 アトリウム1・2、展示室1・2
主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
協力
ANOMALY、ケンジタキギャラリー、小山登美夫ギャラリー、シュウゴアーツ、西村画廊、ヒノギャラリー、ミヅマアートギャラリー、武蔵野美術大学 彫刻学科研究室
監修
三沢厚彦(彫刻家/武蔵野美術大学 彫刻学科教授)

会場構成   杉戸洋


お問い合わせ

お問い合わせフォームからお送りいただくか、下記までお問い合わせください。

武蔵野美術大学 美術館・図書館
電話:042-342-6003
Eメール:m-l@musabi.ac.jp

イントロダクション

1989 年、それまで私自身が耳にしてきた様々な音楽を包括してくれるかのようなアルバム、細野晴臣の『omni Sight Seeing』がリリースされた。当時私は、そのアルバムに大きな喜びを感じながらも、畏敬の念を持って聴いたことを、今でも鮮明に覚えている。そこで用いられたomni(全方位)、Sight(場の景色)、Seeing(見ることの持続性)という言葉は、私はだれで、どこに居て、何を見、感じるのかという、自己の存在や表現への問いに対する手がかりとなっていた。
 何を彫刻として表現するのか、あるいは彫刻とは一体どういったものなのか。作家にとって、彫刻への考え方や表現技法は多様性に満ちており、その答えは千差万別なのであろう。
 そして今回それら彫刻作品を、様々な建築素材に囲まれ、性格の違う空間がコンバインされた芦原義信の建築空間で展開することも重要な要素だ。建築と彫刻、さらに作品どうしとが呼応することで、「オムニ(omni≒全方位)彫刻」という新たな彫刻の姿が、全方位的な知覚によって多元的に浮かび上がってくるだろう。
三沢厚彦(彫刻家、本展監修)


三沢厚彦《OMNI》2020 年(本展マークとして)
15.8×22.7cm 油彩、キャンバス

本展の趣旨
現代彫刻を牽引する11 名の彫刻家——戸谷成雄、舟越桂、伊藤誠、青木野枝、三沢厚彦、西尾康之、棚田康司、須田悦弘、小谷元彦、金氏徹平、長谷川さち——と新たな彫刻展を試みます。展示レイアウトに杉戸洋、テキスト執筆に小林正人と、2 人の画家も加わり、多彩な13 名のアーティストとともに彫刻の可能性を探ります。  企画監修の三沢厚彦による造語「オムニスカルプチャー(オムニ彫刻)」は、彫刻への全方位(≒omni)的な考えから生まれました。現代彫刻は、様々な思考やそれらを形象化する多様な表現法によって拡張し続けています。「オムニ彫刻」はこのような姿や現象を包摂する言葉であり、これからの彫刻を考えるためのキーワードとなるのではないでしょうか。
 本展に参加する11 名の作家たちは、世代や性別もさることながら、彫刻への考え方や向き合い方も三者三様であり、木、鉄、石、FRP など扱う素材や技法も多岐にわたります。固有のベクトル——方位や力をもつ彼らは、現代彫刻の拡がりを体現するかのような、まさに全方位的な彫刻家といえます。
 彫刻は自律的である一方で、本来的には場所性と不可分であり、台座はもちろん設置場所の環境(建築素材や周囲の作品、鑑賞者の存在)と呼応します。また、当館の展示空間は、建築家の芦原義信が設計した後、2 名の建築家が増改築を行い、3つの建築思考が混成する場となっています。本展では、11 の作家性が、当館の吹き抜けのアトリウムを中心としたひと続きの、いわばハイブリッドな展示空間で相互に作用し合いながら、共生します。
 さらに杉戸洋が独自の空間意識を持ち込むことで、多様な彫刻は対峙、あるいは交ざり合ってゆきます。杉戸が触媒となる空間のなかで新たな関係が構築される時、展示空間全体もまた、オムニ彫刻の一つの表現体となるでしょう。
 本展をとおして、様々な対話や多様な解釈が生まれることで、11 名の作品がいかにして彫刻となるのか、その場所をめぐって彫刻の現在とこれから——その可能性を探ります。

見どころ

出品されない作品には、末尾に「参考図版」と記載しています。

出品作品

出品作家紹介
戸谷成雄(とや しげお)
1947 年長野県生まれ。彫刻とは何か、もの派以降新たな彫刻の再構築を試みる。チェーンソーなどを使った木彫作品を中心に森シリーズ、ミニマルバロックシリーズなどへと展開。類い希なる彫刻理論に裏打ちされた深い作品世界によって、彫刻の本質とその可能性を提示し続けている。
舟越桂(ふなこし かつら)
1951 年岩手県生まれ。遠くを見つめるかのような、神秘的な目を持つ肖像的木彫作品で知られる。その静謐な胸像は、人間の存在とは何かを見透かすように、我々に問いかける。近年は「スフィンクスシリーズ」も制作し、その具象彫刻は一層深淵な人間のリアリティを宿し、特有の世界感を放つ。
伊藤誠(いとう まこと)
1955 年愛知県生まれ。伊藤は、FRP、ゴム、ステンレス、鉄など、様々な素材を用いて、既成概念にとらわれない軽やかな形態を生み出す。そこにある複雑な構造は、我々の名もなき感覚やまだ見ぬ領域を刺激する。近年は鑑賞者に直接的に訴えかけるような、身体に装着可能な作品も制作する。
青木野枝(あおき のえ)
1958 年東京都生まれ。青木は大気や水蒸気などをモチーフとして、工業用の鉄板を主に円環状に溶断したパーツを溶接し作品を制作する。鉄本来の重さや固さから解き放たれた作品は、自然の移り変わりや生命の循環を思わせる。近年は鉄だけでなく、石膏やガラス、石鹸などを用いた作品も制作する。
三沢厚彦(みさわ あつひこ)
1961 年京都府生まれ。2000 年より動物をモチーフとした彫刻「ANIMALS」シリーズを発表。クスノキの丸太から鑿で彫り出し、油絵具で彩色したほぼ等身大の動物像は、新たな彫刻のリアリティを獲得するとともに圧倒的存在感を放つ。近年はユニコーンやキメラなど、空想上の動物も制作。
西尾康之(にしお やすゆき)
1967 年東京都生まれ。指で粘土を押し込め作った雌型に石膏を流し込む「陰刻鋳造」が西尾の代名詞である。彫刻の内部からかたどってゆくこの手法では、その全貌は完成まで把握できない。不可視の内面から押し出すように全面に指跡が刻まれたその表面は生々しく、そして強烈な印象を残す。
棚田康司(たなだ こうじ)
1968 年兵庫県生まれ。2001 年のドイツ滞在以降、一貫して日本の伝統的技法「一木造り」で人間、とりわけ少年少女の像を制作する。細身の身体に長い手足を持つ少年や少女は、繊細さや不安定さ、危うさを孕み、曖昧な境界に漂う人間の存在あるいはその情念を表出する。
須田悦弘(すだ よしひろ)
1969 年山梨県生まれ。須田は、本物の草花と見紛うほど細密な木彫を制作する。単なる精巧さでなく、場所との関係性にこそ作品性が宿る。思いがけない場所に現れ、空間を大きく変容する小さく儚い草花は、静かに、しかし特異なる存在感を放つ。
小谷元彦(おだに もとひこ)
1972 年京都府生まれ。失われた身体感覚や身体の変容を幻影として捉え、不在と存在、覚醒と半覚醒など両義的な中間領域を探求する。立体作品のみならず、写真や「映像彫刻」ともいえる体感型インスタレーションなど、多様なメディアを用いて新たな彫刻の姿を模索する。
金氏徹平(かねうじ てっぺい)
1978 年京都府生まれ。フィギュアや日用品などを用いて、解体と再構築を反復したコラージュ的手法で制作した作品は、日常のイメージを軽やかに拡張しながら現代彫刻のあり方を問う。2011 年以降は舞台美術を手がけるなど、枠組みにとらわれず、幅広い分野で活動する。
長谷川さち(はせがわ さち)
1982 年兵庫県生まれ。長谷川は、日本古来の風景や営みなどからインスピレーションを受け、無数の鑿跡を残しながら石を彫る。石という古代から続く素材で制作された、不可視な存在や見ず知らずの自然物を具現化させたような固有の有機形態は、今日においても彫刻の神秘性を宿す。


展示空間について
会場となる当館は、芦原義信の設計によって1967 年に竣工したモダニズム建築であり、さらにその後、保坂陽一郎の増築(1977 年)、藤本壮介の改修(2011 年)を経て、それぞれの建築思考が交じり合う独自の空間となっています。本展の主な展示空間となる吹き抜けのアトリウムは、南北の各スキップフロアーを架橋するスロープが特徴的で、さらに、屋外と連続させた意匠による外部的内部空間として、コンクリート壁やH 鋼、レンガ、大理石など多様な建築材料が用いられています。
 展示空間は1F、2F のアトリウム(約400 ㎡)を中心に、接続するホワイトキューブの展示室(約190 ㎡)も使用し、杉戸洋の展示レイアウトによって、ひと続きの空間に縦横無尽に彫刻作品が展開します。また、もう1 つの展示室(約110 ㎡)では、「オムニ資料室(仮称)」として、作品のためのマケットやドローイング、展示構成のスケッチなど、本展のためのドキュメントも公開する予定です。

小平市平櫛田中彫刻美術館との連携について
本展開催にあたり、武蔵野美術大学 美術館・図書館は小平市平櫛田中彫刻美術館と連携します。小平市平櫛田中彫刻美術館では展覧会「近代日本彫刻の現在地」(仮題)を通して、近代彫刻をめぐる様々な問題を現在の視点を加えて紐解きながら、現代彫刻とを結ぶ回路を探ります。
 彫刻という概念が導入された近代を経て、現代を生きる私たちが彫刻をどのように捉えてゆくべきなのか——近代と現代をめぐる2 つの展覧会が相互に作用することで、彫刻の現在とその可能性を探る試みとなります。

「近代日本彫刻の現在地」(仮題)
会  期|2020 年5 月23 日(土)–9月6 日(日) 休 館 日|火曜日
開館時間|10:00–16:00
会  場|小平市平櫛田中彫刻美術館(東京都小平市学園西町1-7-5)
主  催|小平市

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