2021年10月4日(月)-11月14日(日)
ART-BOOK: 絵画性と複製性——MAU M&L貴重書コレクション × Lubokの試み
美術館 終了
完全予約制 ※学内(学生・教職員)は予約不要
会期変更:2021年9月6日(月)〜10月2日(土)、10月18日(月)〜11月13日(土) → 2021年10月4日(月)〜11月14日(日)
配布されているポスター・チラシに記載している会期から変更になりましたので、ご注意ください。
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本展では、書物における版画に焦点を当て、当館の貴重書コレクションを体系的に展観するとともに、現代の版表現の可能性を拡張するライプツィヒの出版社ルボーク・フェアラーグ(Lubok Verlag)の活動を紹介し、書物における「絵画性」の在りかを版画というメディウムの技術的、表現的側面から紐解きます。
- 会期
- 2021年10月4日(月)-11月14日(日)
- 時間
- 10:00-18:00 (土・日曜日、祝日は①10:00-13:00、②14:00-17:00)
- 休館日
水曜日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学 美術館展示室1・2、アトリウム1・2
- 申し込み方法
こちらのページ(「美術館・民俗資料室への来場について」)をご覧ください。
- 主催・企画
- 武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 監修
- 高浜利也(武蔵野美術大学 造形学部油絵学科版画専攻教授)
- 企画協力
- 飯沼珠実
- 協力
- 武蔵野美術大学 油絵学科版画研究室、Lubok Verlag
- 助成
-
Institut für Auslandsbeziehungen
※新型コロナウイルス感染症の今後の拡大状況に応じて会期等が変更になる場合があります。
第一部:貴重書コレクション
書物の長い歴史のなかで、版画はその視覚的表象の中枢を担ってきました。活版印刷術の発明により書物が容易に複製されるようになると、それまで人の手により書き写されてきた挿絵や図版も版画により複製され、時代思潮や社会的背景、技術の発展とも結びつきながら、多様な表現を見せ始めます。第一部では、当館が所蔵する貴重書コレクションの中から、版画による挿絵や図版表現の優れた書物を厳選し、三章に分けてご紹介します。絵画や複製との関連も視野に入れながら、版画というメディウムに固有の技法と表現を、いま一度捉え直すことを試みます。
第一章では、15世紀後半から16世紀の書物に見られる挿絵や図版を取り上げます。この頃の主要な技法である板目木版は、表現上の制約が多い反面、版刻が比較的容易であることや活字組版と同時に印刷できる利便性から多用され、素朴ながら味わい深い挿絵や内容の補足を旨とする図版がテキストの傍を彩りました。
第二章では、17世紀から19世紀の書物における図版の再現性に焦点を当てます。エングレービングやエッチング、リトグラフ、木口木版等、あらゆる版画技法が出揃うこの時代、彫版や印刷の技術は飛躍的な発展を遂げ、現実の事物や絵画そのものと見紛うほどの、精緻な図版表現が可能となりました。
第三章では、19世紀後半から20世紀中葉にかけて変容した版画の在り方を再考します。この頃、写真製版技術の普及に伴い、従来の版画技法を用いた挿絵や図版は衰退の一途を辿ります。他方、芸術家のイデーを直接的に表現する手段として、書物や版画に新たな光が当てられます。近代美術の実践と並走するかのような、絵画性を全面に打ち出した版表現や、書物の装飾や壁紙のデザイン等、応用的側面への探求が試みられ、版画の持つ可能性が見直されることとなりました。
第二部:Lubokの試み
現代の版表現の可能性を拡張するドイツ・ライプツィヒの出版社ルボーク・フェアラーグ(Lubok Verlag)の活動を、主宰者であるクリストフ・ルックへバーレの作品群と共に紹介します。ルックへバーレは、リノリウム版を用いたアートブックを出版するいっぽう、アーティストとしては絵画を軸に置きながら、版画や立体作品、インスタレーションなどさまざまな形式で表現を展開しています。版表現を通して自由に領域を横断する制作姿勢は、広くグラフィックアーツとしての版画がもつ今日的可能性を示しています。
見どころ
出品作家紹介
ルボーク・フェアラーグ(Lubok Verlag)
ドイツ人アーティスト、クリストフ・ルックヘバーレが主宰する出版社。ライプツィヒを拠点に2007年に創設。Lubokとはロシアの民衆版画、Verlagはドイツ語で出版社を意味する。彼らが作るアートブックは、リノカットの版画そのものが束ねられ、ページを開いた瞬間にインクの匂いが立ち上がる。また、木版画、フォトポリマー、シルクスクリーン、リソグラフ、オフセットなどの多様な印刷技術を取り入れ、それらを自在に組み合わせながら、現代の書物から失われつつある版の物質性を活かした表現を特徴とする。
出品作品
展覧会場風景
撮影:稲口俊太