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2023年9月4日(月)-10月1日(日)
大浦一志——雲仙普賢岳/記憶の地層
美術館 終了
本展は、本学共通絵画研究室で絵画表現を通し美術・デザインにおける「造形の基礎とは何か」を考える実技授業に長年携わってきた大浦一志(おおうら・かずし)の退任記念展です。
1991年6月3日に発生し、多くの人命を奪った長崎県雲仙普賢岳の大火砕流。この自然災害によって殉職した新聞記者のカメラに残った1枚の写真に突き動かされ、大浦は30年にわたり被災地域と東京を往還し、灰土に埋もれた民家跡から被災物を掘り起こし、噴火後の自然を記録し続けてきました。自身の身体を通して「自然の脅威と人間の営み」に向き合う、大浦のフィールドワークを紹介します。
- 会期
- 2023年9月4日(月)-10月1日(日)
- 時間
- 11:00 - 19:00(土・日曜日、祝日は10:00 - 17:00)
- 休館日
水曜日
- 入館料
無料
- 会場
展示室1・2、アトリウム1・2
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 協力
武蔵野美術大学共通絵画研究室
私たちは「自然の脅威と人間生活が出会った場」を見失ってはならない
長崎県島原半島の中央に位置する雲仙普賢岳は1990年11月17日、「島原大変」と呼ばれる1792年の大噴火以来、198年ぶりに噴火活動を再開しました。1995年2月まで続いた噴火活動は、幾度にもわたり火砕流と土石流を引き起こし、地域一帯に甚大な被害を与えました。中でも1991年6月3日に発生した大火砕流は、報道関係者や地元消防団員など43人もの死者・行方不明者を出した大惨事となりました。大浦一志は、この火砕流で亡くなった新聞記者のカメラに残された「襲いかかる火砕流」の写真を新聞紙上で目にし、大きな衝撃を受けました。
日常、私の内にくすぶりつづけていた「おまえは何を見ているのか」という私自身への問いが、必然的にこの一枚の写真へと、そしてその写真の元へ、自然のエネルギーにのみ込まれ為す術のない人間の営みの「今」を、現実の自然を見なければと……「普賢岳」へ向かわせた。
(1998年「第27回現代日本美術展」カタログ挨拶文より)
そして翌1992年、大浦は初めて島原を訪れます。この時の動機を、「情報化社会に突入した時代の中で、“実像としての現実”を自らの肉体で受け止めることが必要だった」と大浦は語ります。以降、今日に至るまで30年間東京の自宅と被災地を往還し続け、その回数は50回以上に及びます。本展では火砕流による熱風で焼失した民家跡から掘り出した「玄関扉」「軽トラック」をはじめ、1990年代から2000年代にかけて制作した作品群、2010年代以降展開してきた被災民家跡発掘プロジェクトの様子などを、大浦の手記や記録写真・映像と合わせて展示します。普賢岳の麓で大浦が見た風景、過ごした時間を身近に感じていただけるものと思います。
復興事業の進行とともに災害の痕跡が消えゆく被災地で、大浦は地面を掘り起こしては埋め、埋めては掘り起こす行為を繰り返しながら、出来事を克明に記録し、大地と対峙し続けてきました。雲仙普賢岳の噴火という「自然の圧倒的なエネルギー」に、自らの身体を通して向き合い、生きることのリアリティを問う大浦の活動を通観する機会とします。
展示室1で上映中の第33~51回 雲仙普賢岳プロジェクト(2011~2019年)での発掘作業全記録映像を本展YouTubeチャンネルでご覧いただけます。(順次公開中)
出品作家紹介
大浦一志(おおうら・かずし)
1953年、兵庫県生まれ。1975年、武蔵野美術短期大学専攻科デザイン専攻商業デザインコース修了。トラック運転手、NHKサービスセンターデザイン室、勝井三雄デザイン事務所を経て1980年よりフリーのグラフィックデザイナーとして活動。一方で、写真を媒介に身辺の事物に眼差しを重ね、「見ること」の深さを問う作品制作を展開してきた。1992年以降、30年にわたり東京の自宅と長崎県南島原市を往還しながら、被災物の掘出しや採取、定点観測によるフィールドワーク「普賢岳プロジェクト」を行い、自らの身体を通し自然と人間の営みの関わりを探り続けている。1997年第26回現代日本美術展毎日現代美術大賞を受賞。2003年より本学共通絵画研究室教授。
見どころ
展覧会場風景
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撮影:加藤健
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