2015年9月1日(火)-11月7日(土)
ムサビのデザインV:1960-80年代、日本のグラフィックデザイン
寄贈記念 永井一正・田中一光・福田繁雄・石岡瑛子のポスターから
美術館 終了
所蔵作品から近現代デザイン史を概観する「ムサビのデザイン」シリーズ第5弾。1960年から80年代、高度成長期を迎えた日本のグラフィックデザインにフォーカスし、印刷技術の向上によって表現が多様化し、職能としてデザイナーが確立しはじめた時代以降のポスターを展観する。
- 会期
- 2015年9月1日(火)-11月7日(土)
- 時間
- 10:00-18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日 ※9月21日(月・祝)、10月25日(日)、11月3日(火・祝)は特別開館
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室2、4
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 監修
柏木 博(武蔵野美術大学 造形文化・美学美術史教授)
- 助成
公益財団法人 花王芸術・科学財団
このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では展覧会「ムサビのデザインⅤ:1960-80年代日本のグラフィックデザイン 寄贈記念 永井一正・田中一光・福田繁雄・石岡瑛子のポスターから」を開催いたします。
昨年度当館では、永井一正(1929- )、田中一光(1930-2002)、福田繁雄(1932-2009)、石岡瑛子(1938-2012)ら4名のデザイナーについて、1500枚におよぶポスターの寄贈を受けました。これを記念し、本展では、1960年代から80年代の日本におけるグラフィックデザインに焦点を当て、4名のデザイナーの作品およそ150点を展示いたします。
1960年代から80年代は、戦後10数年を経て、東京オリンピック(1964年)や日本万国博覧会(1970年)の開催に象徴されるように、日本が飛躍的な経済成長を遂げ、成熟期へと推移していった時代でした。これに伴ってグラフィックデザインナーへの要望も高まります。従来主に企業に所属したグラフィックデザイナーは、その職能を確立させていき、伝達する内容を決め、クリエーターを統括するアートディレクターへと、担う役割が変化しました。また、〈ぺルソナ〉展(1965年)をはじめデザイン展も多く開催されるようになったほか、宣伝美術協会(1960年)や日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA、1978年)などの団体も組織され、デザイン振興には一層拍車がかかります。こうした世の中の動向に伴う変化に加え、印刷のデジタル技術の幕開け、すなわち写真製版からスキャナーによる製版へといった変化が、グラフィックデザインにより多様な表現をもたらしたといえます。
本展では、この時期、第一線で活躍した永井一正・田中一光・福田繁雄・石岡瑛子らのポスターをデザイナーごとに展示します。それぞれの年代を追って見ることで、当時の雰囲気はもとより、各人の表現がいかに変化していったかをご覧いただけることでしょう。
見どころ
【展示構成】
永井一正
半世紀以上にわたりデザインの最前線で活躍し、その作風を刷新し続けています。本展では、《リリーカラー》(1976年)に見られるように、幾何学的な形と風景写真を組み合わせた抽象的な作品から、《JAPAN》(1987年)の頃から現れる、動物をモチーフとしたグラフィカルな具象作品へと変化する表現を紹介します。
田中一光
デザイナー団体である日本デザインセンターの設立(1959年)に加わったほか、万博といった国家規模のイベントから企業や美術館、劇場などの広告まで、幅広く手掛けました。本展では、40年にわたるライフワークともいえる《産経観世能》シリーズのほか、日本の伝統を意識した《Nihon Buyo》など、約40点を紹介します。
福田繁雄
ユーモアに富む内容が評価され、ワルシャワ国際ポスター展など数々の国際展で受賞しました。この受賞作のほか、印刷技術の発展により多様な製版方法が試みられ、その中で制作された《JAPON-JOCONDE》や、視覚のトリックを利用した作品など、見ることを追求し続けた作品の数々を紹介します。
石岡瑛子
資生堂の宣伝部から独立後、70年代から80年代を通じて企業の宣伝広告を手掛けました。本展では、特に、自ら積極的に内容を練り上げ、社会進出する女性や世の中に対する刺激的なメッセージを投げかけた、PARCOのポスターを中心に展示します。