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「美大生におすすめの本20選」Vol.1:高島直之教授

掲載日:2020年4月23日(木)

図書館

図書館では「先生たちの頭の中をのぞいてみたい」という趣旨で、先生方がおすすめする”美大生なら読んでおいてほしい本”を紹介する館内展示を企画していました。 臨時閉館が続き、みなさんにお披露目できる日がしばらく先になりそうですので、先生からのメッセージと共に、ここで紹介させていただきます。

第1回目は、造形学部芸術文化学科研究室の高島直之先生です。

高島直之教授(芸術文化学科)

高島直之教授(芸術文化学科)

「本を読み〈沈黙の声〉に耳を澄ませよ」

ほんとうに美しいものに出会ったとき人は沈黙を強いられる。そこで沈黙に耐えて〈美〉を味わうことができるのかどうかが重要だ、と小林秀雄はいっている。
鑑賞者に沈黙を強いるということは、その芸術作品の内部においても言葉にならない沈黙の要素があるということではないか。
いつだってその時代においてオリジナルで「完全な表現」というものはない。たとえば、ゴッホやセザンヌの作品が作家自身の手から離れて自在に地域や時代を超えていき、いまもなお享受されていることを考えれば、その時代にとっての「完全な表現」などありえないことがわかる。なぜなら、芸術とはつねに語りかけてくるものだからである。
わたしたちはそういった〈沈黙〉の声の語りかけにこそ耳を澄まさねばならないのではないか。言葉を豊穣にすることを優先するのではなく、〈沈黙〉の声に耳をかたむけて、芸術の、モノの生成過程を発見していく必要がある。書籍の森を渉猟しながら「生の感覚」をとりもどせ。

〈高島先生のおすすめ本〉

タイトル 著者等 出版者 出版年
イデア : 美と芸術の理論のために E・パノフスキー著、伊藤博明・富松保文訳 平凡社 2004
イメージの歴史 若桑みどり著 筑摩書房 2012
芸術の哲学 〔白水Uブックス〕 *1 G・ジンメル著、川村二郎訳 白水社 2005
日本美術の見方 中国との比較による 戸田禎佑著 角川書店 1997
フランシス・ベーコン 感覚の論理学 ジル・ドゥルーズ著、宇野邦一訳 河出書房新社 2016
江戸浮世絵を読む 小林忠著 筑摩書房 2002
形の生命 アンリ・フォシヨン著、杉本秀太郎訳 平凡社 2009
ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読 多木浩二著 岩波書店 2000
美のイデオロギー テリー・イーグルトン著、鈴木聡〔ほか〕訳 紀伊国屋書店 1996
[鶴見俊輔集 6] 限界芸術論 鶴見俊輔著 筑摩書房 1991
公共性の喪失 リチャード・セネット著、北山克彦・高階悟訳 晶文社 1991
西洋美学史 小田部胤久著 東京大学出版会 2009
風景画論 ケネス・クラーク著、佐々木英也訳 筑摩書房 1967
近代芸術 *2 瀧口修造著 美術出版社 1962
シュルレアリスム宣言・溶ける魚 〔岩波文庫〕 *3 アンドレ・ブルトン著、巌谷国士訳 岩波書店 1992
日本人と遠近法 諏訪春雄著 筑摩書房 1998
知覚の現象学 1 M.メルロー=ポンティ著、竹内芳郎・小木貞孝訳 みすず書房 1967
知覚の現象学 2 M.メルロー=ポンティ著、竹内芳郎・木田元・宮本忠雄訳 みすず書房 1974
なぜ、植物図鑑か : 中平卓馬映像論集 中平卓馬著 筑摩書房 2007
抽象と感情移入 : 東洋芸術と西洋芸術 ヴォリンゲル著、草薙正夫訳 岩波書店 1953
絵画の準備を!= Ready for painting! 松浦寿夫・岡崎乾二郎著 朝日出版社 2005
グリーンバーグ批評選集 C.グリーンバーグ著、藤枝晃雄編訳、上田高弘〔ほか〕訳 勁草書房 2005
柳宗悦 鶴見俊輔著 平凡社 1976
マルセル・デュシャン全著作 ミシェル・サヌイエ編、北山研二訳 未知谷 1995
鏡と皮膚 谷川渥著 筑摩書房 2001
イメージ : 視覚とメディア ジョン・バージャー著、伊藤俊治訳 筑摩書房 2013
絵画論の現在 : マネからモンドリアンまで 〔改訂版〕 *4 藤枝晃雄著 スカイドア 1997
写真の哲学のために : テクノロジーとヴィジュアルカルチャー ヴィレム・フルッサー著、深川雅文訳 勁草書房 1999

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