2021年5月12日(水)-6月20日(日)
膠を旅する——表現をつなぐ文化の源流
美術館 終了
一般(学外)の方のは事前に「入館予約」が必要です。詳細はこちらをご覧ください。※各日時とも定員に達したため、予約受付を終了いたしました。
日本画の伝統的画材である膠は、絵具と支持体をつなぎとめる素材として、多様な表現を生み出しながら、連綿と続く日本画の系譜を支えてきました。しかしながら、今日において伝統的な手工業による膠の生産は途絶えています。
本展は、本学共同研究「日本画の伝統素材『膠』に関する調査研究」の成果発表展として、膠づくりの歴史的・社会的背景を見つめ直す現地調査のドキュメントを中心に、実際の動物の皮といった実物資料、さらには当館所蔵の日本画等の膠を用いた作品表現をご紹介します。動物の骨や皮を主な原料とする膠づくりの源流をたどる旅を通して、各地の動物資源の利用とその社会史、膠がつなぐ表現の諸相を多角的に見つめます。
- 会期
- 2021年5月12日(水)-6月20日(日)
- 時間
- 月・水・木・金曜【学内限定】12:00-18:00
土・日曜【一般(学外)限定】①10:00-12:00、②12:30-14:30、③15:00-17:00
※6/5のみ ①12:30-14:30、②15:00-17:00 - 休館日
火曜日
- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室4・5
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 監修
内田あぐり(武蔵野美術大学 名誉教授)
※本展は5月10日(月)より開催を予定しておりましたが、当館における新型コロナウイルス感染症拡大防止の取り組みにともない、展覧会準備に遅延が生じ、当初の予定どおりに開幕することが不可能となったため、会期を5月12日(水)〜に変更いたしました。
※新型コロナウイルス感染症の今後の拡大状況に応じて会期が変更になる場合があります。
武蔵野美術大学共同研究「日本画の伝統素材『膠』に関する調査研究」では、すでに途絶えてしまった膠づくりの歴史的・社会的背景を見つめ直すため、現地調査の旅を重ねてきました。牛や鹿などの骨や皮、魚の鱗や浮き袋などから溶かし出された動物性タンパク質を原料とする膠には、とりわけ皮革素材を製造する際に余る屑皮や残滓が多く利用されています。膠づくりの道筋をたどるとき、そこには皮革産業を中心とした各地の動物資源利用のあり方、さらには動物の生命を糧とする狩猟の風習といった、ひとつの文化の源流が見えてきます。調査では、大阪や兵庫に伝わる皮鞣し技術、軍需により発展した東京や埼玉の皮革製造業、北方民族における魚膠文化など、多岐にわたって取材が行われました。
この旅の結びともいうべき本展では、調査に同行した写真家の内田亜里による鮮烈な写真や映像といったドキュメントとともに、多種多様な膠素材や原料となる牛や鹿の皮、実際に工場で使用されている道具類などの実物資料を展示します。さらに本展では、空間デザインを建築家の植村遥、小林恵吾が手がけます。素材と共鳴する展示空間の中で、あらためて膠に潜む獣性や表現を生み出す原質としての動物の本来の姿へと視線を向けることで、膠をめぐる文化の諸相をご覧いただきます。
あわせて当館の日本画コレクションから、本学教授であった毛利武彦(1920-2010)、麻田鷹司(1928-1987)らの作品や、丸木位里(1901-1995)・丸木俊(1912-2000)夫妻の新収蔵作品を紹介します。丸木夫妻が描いた《原爆の図 高張提灯》は、本共同研究をきっかけに昨年当館に収蔵されることとなり、本展が初公開の場となります。
[関連書籍]
『膠を旅する』
監修:内田あぐり 発行:国書刊行会
判型:B5変型判 ISBN:978-4-336-07184-2 ページ数:240 頁
下記、国書刊行会のサイトからお買い求めいただけます。
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336071842/
※展覧会場でもご購入いただけます。
見どころ
出品作品
展覧会場風景
撮影:内田亜里