本庄美千代
美術館・図書館
西洋と東洋では芸術の表現方法も美術や絵画の見方も異なるものであるが、本書は西洋と東洋の美術をパラレルに論じたものではない。アラマタさんならではの着眼点がすごいのだ。「ヒトはどうして絵を描くようになったのか」にはじまり、古今東西の美術作品を取り上げた装飾芸術の秘密、アラマタさんのすごさはわが国独特の鏝絵(こてえ)など、今では廃れた伝統美にも目を向け掘り起こす目の力だ。また「ヒトはなぜ悪趣味を求めるのか」を論じたバッドテイスト論など、ここには教科書では味わえない美術の醍醐味がある。
本庄美千代
美術館・図書館
4名の著者が20世紀初頭からの30数点の本の作品を取り上げ「本をめぐるアート」について多角的な視点から論じたもの。とりわけロシア・アヴァンギャルドやイタリア未来派の視覚の革命と称される実験的な造本デザインは特筆に値する、一方で70年代に稲垣足穂と中村宏が銅凸版の装丁で制作した『機械学宣言』や加納光於、若林奮などの作品はわが国における本のオブジェの嚆矢と言えるかもしれない。坂本満の今日的な「ブック・アート」の曖昧さと本の形象化についての論考が的を突いている。
表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。
本庄美千代
美術館・図書館
アイソタイプとはウィーンの社会学者で哲学者でもあったオットー・ノイラートが考案した世界共通の絵ことばである。本書はノイラートが1943年から45年にかけて書き残した自叙伝「ヒエログリフからアイソタイプまで」を復刻し、ノイラートが見たヒエログリフの世界からアイソタイプの考案に至るプロセスを視覚の自叙伝としてまとめたもの。
「私が自叙伝を書く理由」「初めての印象」「我が家の書斎で私は何を見たか」「数世紀にわたるヒエログリフと死の荘厳なページェント」など5章立て。