2017年9月4日(月)-11月11日(土)
やきものの在処(ありか)
美術館 終了
縄文土器や北欧陶磁、民藝の器など、あらゆる時代と地域にまたがり収集された400点以上のムサビ陶磁コレクション中から選んだ作品を、その3Dデータ、高精細画像などと併せて展示する。最新技術をとおして、教育に資することを目的とするムサビのやきものの新たな魅力を探る。
- 会期
- 2017年9月4日(月)-11月11日(土)
- 時間
- 10:00-18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日、10月30日(月)
※9月18日(月・祝)・23日(土・祝)、10月1日(日)・9日(月・祝)・29日(日)は特別開館- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室4・5
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 共催
武蔵野美術大学 造形研究センター
- 監修
田中正之(武蔵野美術大学 造形文化・美学美術史教授)
このたび、武蔵野美術大学 美術館・図書館では、展覧会「やきものの在処(ありか)」を開催いたします。
やきものは、いつも私たちの傍に、当たり前に在るものです。「やきものを使う」ことには、無意識的であれ、親しみを覚える人が多いのではないでしょうか。一方で「やきものをみる」ことには、それなりの作法や知見が求められるようで、縁遠く感じることが少なからずあるのかもしれません。
武蔵野美術大学美術館では、縄文土器や李朝陶磁、英国のスリップウェア、民藝の器など様々な時代や地域の陶磁器を所蔵しています。本展覧会では、みることにまつわる作法に捉われず新たな見方でやきものを楽しめるよう、陶磁史的視点や素材、技法、産地などの観点は一旦脇に置き、やきものをモチーフとして取り上げた絵画や写真、文学作品を主に所蔵作品から選び、当館陶磁コレクションとともに展観します。
一つの造形としてみたとき、やきものは形や色、質感、描かれる線のリズム、湛える時間性など、史実や技法の知識に基づかなくとも、私たちの感覚を揺さぶる可能性に満ちています。同時に、暮らしに欠かせないものとしてみたときには、時として日常生活の様々な断片や個々の記憶を呼び起こし、想像の中で響き合うことがあるかもしれません。普遍的な存在としてやきものが描かれた小林孝亘の絵画や、物に向き合い続けた写真家大辻清司がやきものを捉えた視点、夏目漱石の文学作品に読むやきものの情景など、異なる地平から同一の存在をみつめることは、新たな視点からやきものの美しさを見出す一助となることでしょう。
また本展では、出品作品の中から選んだ5点のやきもののデジタルデータを作成し、展示します。仔細なデータをタブレットの画面上で拡大し、回し、断面を見ることで、やきものという造形がどのように成り立っているのか、実際のやきものをみる時とはまた別の視点から感じていただけることでしょう。また、今回のデータ化を通して、立体造形であるやきもののアーカイブをどう構築し利活用していくのか、その一端をご紹介します。
当館陶磁コレクションを複眼的に味わうことで、いつもすぐそこに存在するやきものを意識し、愛でる楽しみを日常の端々に感じていただけましたら幸いです。
見どころ
出品作品
1.絵画や写真、文学作品とともに「やきものをみる」
画家小林孝亘は、器や壺など誰にでも馴染みあるやきものを描きます。特に器は日々の食を想起させる、言わば生のかたちであり、均一に塗りこまれた背景に一つ佇むやきものは普遍的なイメージに昇華されていくようです。そのほか、大辻清司の写真や宮沢賢治の「永訣の朝」など、異なるメディアで表された「やきもの」と、縄文土器や李朝白磁、中国景徳鎮窯の青花(染付)などをはじめとする当館陶磁器コレクションをあわせて展観します。他者(作家)の視点を介したやきもの像は、新たな視点で「やきものをみる」一つのきっかけとなることでしょう。
2.デジタルアーカイブの手法の紹介
3DCGやCTスキャン画像をはじめとするデジタルデータを活用することで、やきものの裏面の絵付けや内部構造など、普段展示室ではなかなか見られない部分をご覧いただけます。