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杉浦康平デザインアーカイブ「デザイン・コスモス」 リニューアル・オープン!!

掲載日:2023年6月30日(金)

総合 図書館

武蔵野美術大学 美術館・図書館では、グラフィックデザイナー杉浦康平氏(1932―)のデザイン作品、デザインプロセス資料、作品掲載誌、デザイン制作に影響を与えた旧蔵書などで構成する「杉浦康平デザインアーカイブ」を所蔵しています。杉浦氏の創作活動をほぼ網羅する特別コレクションです。その公開にあたり、インターネット版ヴィジュアル作品集「デザイン・コスモス」を2021年6月に開設しました。ウェブサイト上に三次元的な宇宙空間を創り出し、そこに浮遊する杉浦デザイン作品の世界を、誰でも自由に、探索し、動かし、選択し、驚き、遊び、学び、楽しむことができる、画期的なデジタル・アーカイブです。開設時には杉浦氏がセレクトされたブックデザイン作品186点を掲出しました。
 おかげさまで開設直後より大きな反響があり、デザインを学ぶ方や専門家だけでなく、一般ユーザーからのアクセスも多く、たくさんの貴重なご意見をいただくことができました。それを励みにし、さらなる充実を図るため、開設からちょうど2年にあたる2023年6月、「デザイン・コスモス」をリニューアルいたします!



杉浦康平デザインアーカイブ「デザイン・コスモス」

武蔵野美術大学 美術館・図書館 所蔵
“Design Cosmos: Sugiura Kohei Design Archive”
in the Collection of Musashino Art University Museum & Library


●杉浦康平の雑誌デザイン

今回のリニューアルでは、杉浦デザインの主核のひとつである「雑誌デザイン」を究明することを主題とします。
 杉浦康平氏は、半世紀以上にわたり、雑誌デザインの可能性を探求し続けてきました。杉浦氏が事務所スタッフとともに手がけた雑誌デザインは、40誌、およそ2,000冊。建築、哲学、文化、伝統、民俗、教育、科学、アジア文化、政治、そして噂……など、その主題も広範囲に及んでいます。その多くは決まった形にとらわれず、月ごとに手を加えて変化にとんだ(変化しつづける)表紙デザインとなりました。
 杉浦氏が自身の雑誌デザインを振り返る機会となったのは、2004年に東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催された展覧会「疾風迅雷:杉浦康平 雑誌デザインの半世紀」です。50年以上にわたる雑誌の仕事を展望する場として企画されたこの作品展にあたり、手がけた雑誌デザイン作品をあらためて丁寧に見つめ、雑誌とはなにか、自身のデザイン語法とはなにかを分析/総括されました。そして、主要な34誌を取り上げて、デザイン解説を書き下ろしました(そのテキストは同名の作品集にまとめられました)。この時の振り返りが、当館「杉浦康平デザインアーカイブ」の端緒となっています。
 また、膨大な作品群から特定作品に感覚的にアクセスすることができる、インタラクティブな検索システムの開発がなされたのも、この作品展でした。文字情報ではなく、作品の書影画像をインデックス化することで、視覚的な作品選択が可能となりました。詳しい情報を持ちあわせていないユーザーでも杉浦グラフィズムの宇宙に容易に飛びこんでいける操作性を備えたこの検索システムは、2004年当時、ひじょうに画期的なものでした。そして、このシステムこそが、当ウェブサイト「デザイン・コスモス」の設計思想となるものです。
 「疾風迅雷」展は、杉浦氏にとって自身のデザイン語法を振り返る初めての作品展だったこともあり、並々ならぬエネルギーが注がれました。そのヴァイタリティが、20年の時を経て、「デザイン・コスモス」に再結晶します!
     
 知れば知るほど、驚異の杉浦コスモグラフィア。
 より一層魅力あるデジタルアーカイブに甦生した「デザイン・コスモス」。
 インタラクティブな宇宙空間にあそび、独創のデザインワールドを、ぜひご堪能ください!


杉浦康平(すぎうら・こうへい)

1932年9月8日東京生まれ。日本のグラフィックデザイナー、アジアの図像学研究者、神戸芸術工科大学名誉教授、同大学アジアンデザイン研究所(RIAD)顧問。意識領域のイメージ化で多元的なデザイン宇宙を切り開き、レコードジャケット、ポスター、ブックデザイン、雑誌デザイン、展覧会カタログデザイン、ダイアグラム、切手デザインなどの第一線で先端的かつ独創的な活躍を展開。2008年に手掛けたデザイン作品、デザインプロセス資料、旧蔵書など創作活動をほぼ網羅する一式を武蔵野美術大学 美術館・図書館に寄贈し、「杉浦康平デザインアーカイブ」を構成。1997年に毎日芸術賞受賞、紫綬褒章受章。2019年に旭日小綬章受章。

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