表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。
村井威史
美術館・図書館
図書館建築の発展の歴史は、ひとと文字との関係性の証しでもある。文字が誕生した古代メソポタミアから現在に至るまで、図書館はたんに本を保管する「入れ物」ではなく、人類の知恵と創造性を育み、後世へ受け継ぐ場所として、まさに文化を象徴する存在だった。図書館は時代の要請によってさまざまに変化し、その機能はたえず進化してきたのである。ひとの営みがある限り、図書館の役割は終わらない。
前田奈津子
美術館・図書館
静まり返った夜明け前の湖のほとり。
湖面にさざ波が立ち、朝がやってくる。
絵に添えられた少ない言葉は、読み手に湖に流れる静寂な時間を想像させてくれ、美しい色調の水彩画は、空気・温度・音・光・風、うつり変わる夜明けの繊細な部分を感じさせてくれる。
大人になった今この絵本をみると、自分がこれまで体験した夜明けの美しさを思い出すこことができ、より楽しめる。
いくつになっても、新鮮な感覚を与えてくれる絵本。
山口拡
美術館・図書館
本書はグリム童話26編の初版と二版のテキストを比較し、その異同を明らかにしている。グリム兄弟は版と共に改訂を重ね、物語を変化させてきた。グリム童話が刊行された時代、物語は語り伝えるものから、書かれた文章を読むものに変化した。二つの版の違いは、この違いによるものといってもいい。
本書はグリム童話好きだけでなく、物語の形式に関心を持つ人にとって、興味深い資料となるだろう。