古賀祐馬
美術館・図書館
世界初の電子楽器。
開発者はレフ・セルゲーエヴィチ・テルミン博士。
聞いたことはあるが弾いたことはない楽器の代名詞とも言える、謎の楽器。
テルミン博士自身も数奇な人生を歩んだ、謎の人物。
そんなテルミンとテルミン博士の記録、それが本書。
まるで映画のようなテルミン博士の人生に、ページが進む。
前田奈津子
美術館・図書館
『飼い喰い』タイトルが潔い。
牛や豚が肉になるまでを取材し続けてきた著者は、彼らの「生前」のことを知りたくなり、豚を飼い育てることを思いつく。
女ひとりで某養豚の産地に廃屋当然の家を借り、軒下で3匹の子豚を育て、屠畜場に出荷し肉にして食べる(!)までを文章と細密なイラストで記録したルポルタージュ。
今の養豚・屠畜事情にも触れられている。
文章や写真では伝えづらい部分をうまく補足しているイラストが絶妙。
制作者
ジョシュア・オッペンハイマー
制作年
2012年
齋藤啓子
視覚伝達デザイン学科
この映画の特筆すべき劇中劇ならぬ映画中映画の仕掛けには、フォーラムシアターの手法がダブってみえる。消し去られた時間と出来事を視覚化し内証するためにはこの方法しかないのだ。必然的にお互いが他の誰かの役割を演じて物語り、繰り返して真実に近づこうとし、それは現実を凌駕していく。普通の人間が自らの尊厳を取り戻すための想像の力を起動させる何かがきっとここにはある。私にはそう思える。映画のエンドロールには夥しい「ANONYMOUS(匿名)」が続くのではあるが…。