制作者
テレンス・マリック
制作年
1973年
木村美佐子
美術館・図書館
イメージライブラリー
無軌道な殺人を繰り返す青年と少女の逃避行を描いたテレンス・マリックのデビュー作。
泥臭いクライム・ムービーに収まりがちな題材を、映像美を極めた次作『天国の日々』よりもう少し手前の、手触りが感じられるような自然描写で以て、叙情性溢れるロード・ムービーに仕上げている。
恋人から注がれる愛情にも彼が犯す殺人の凄惨さにも次第に関心を失っていく少女を、シシー・スペイセクが好演。まるで過去の些細なできごとを語るかのようなモノローグは耳に心地よく、けれどもの悲しく響く。
篠塚千惠子
造形文化・美学美術史研究室
現役小説家が東京大学で世界文学を論じた講義録である。テーマは、近代小説がどのように誕生し、それ以前の物語とどう違うのか、漢文の翻訳から始まった日本文学の歴史とは、言語とは、翻訳とは・・・。短編小説の味読の仕方を実践し、見事な要約と分析によって長編小説の神髄を解き明かす。読者はその解説の妙技の魔法にかかり、本書に出てくる小説を読む(ないし再読する)行為に駆り立てられ、そこから新しき現実を発見するだろう。
出版者
有限会社ビッグイシュー日本
出版年
日本では2003年に創刊
毎月1日&15日発売
小澤智子
言語文化研究室
300円のうち、160円が販売者の収入に。ホームレスの仕事を作り自立を応援する雑誌。表紙は世界的なセレブが飾り、誌面ではホームレスから有名人までがそれぞれの視点で多様な人生観や社会問題について語る。成熟した社会の真の在り様が具体的に垣間見えると思う。市民社会をリードするオピニオン誌としての意外性と知的な刺激が私にとっては心地よい。みなさんにとってはいかがでしょうか。(現在、国分寺駅前でも販売中。)