著者
ロイ・ストロング著
星和彦訳
出版者
平凡社
出版年
1987年
岩崎友明
美術館・図書館
中世からルネサンスにかけて、西欧世界の祝祭は壮麗極まる一大行事だった。それは宗教的・国家的権力の誇示が主たる目的である。本書は当時の祝祭における演出法と芸術との接点に着目し、政治・演劇・絵画・建築など複数の分野が絡まりつつ、複雑かつ壮麗に発展していく様を教えてくれる。特に興味深いのは遠近法的舞台の出現だろう。ピエロ・ディ・コジモをはじめとする当時の画家への影響は、考える程に想像力をかき立てられる。
著者
寿岳文章
出版者
出版ニュース社
朝日新聞社(初版)
出版年
1973年
1949年(初版)
江島快仁
美術館・図書館
英文学者であり書誌学者であった著者による書物論は、初版から半世紀以上経過した現在でも色褪せていない。過剰な装飾が施された書物が世に氾濫する中、書物の在り方について物質的且つ形式的側面から独自の理論を展開している。B6判に対して10ポイントの本文は今日では些か大きい印象だが、初版は12ポイントであり、著者のこだわりが伺える。初版の美しい本文書体は現在「たいら」という名で商品化されている。
制作者
クシシュトフ・キェシロフスキ
制作年
1988年
久保田桂子
美術館・図書館
イメージライブラリー
「ふたりのベロニカ」などの美しい映画で知られるポーランドのクシシュトフ・キェシロフスキ監督が手掛けたTVドラマ。各話一時間の独立した十篇からなり、ワルシャワ郊外のアパートに暮らす人々の生活を旧約聖書の十戒になぞらえて描いている。自らの人生と向き合い、迷いながらも自分なりの決断を下して生きてゆく登場人物たちの力強い眼差しや、日常の光の移ろいを繊細に捉えた美しい映像が忘れがたい印象を残す。