著者
今和次郎
出版者
青幻舎
出版年
2011年
菊地智美
美術館・図書館
今からおよそ85年前、大正12年の関東大震災直後、今和次郎と吉田謙吉を中心としたメンバーが「考現学」というユニークな調査、研究を行っていた。ぽつりぽつりと復興されていく東京の街の様子や人々の変化について、民家や服装など生活に関するあらゆるものを細かく観察し記録・分析したのである。
今和次郎の「生活芸術」に触れ、生活のあり方を見つめ直すことで視野が開ける新たな発見があるかもしれない。
著者
山之口貘
出版者
思潮社
出版年
1988年
古賀祐馬
美術館・図書館
ことばを意識的に“読む”ことは、直感をあまり必要としない。著者の詩は、ことば自体が語りかけてくる、そんな不思議な魅力を持っている。純朴な視点でありながらも、ユーモアと皮肉溢れることばで日常を描き出し、世の中や苦境を笑い飛ばしているかのよう。特にフォーク歌手の高田渡氏が歌った「生活の柄」「石」は情景が自然と浮かんでくるお薦めの二編。直感的に“読む”詩、ぜひ触れてみてほしい。
制作者
ニコラス・ローグ
制作年
1971年
木村 美佐子
美術館・図書館
イメージライブラリー
白人の姉弟とアボリジニの少年の砂漠での放浪を描いた作品。性と死をテーマに描く作家ニコラス・ローグが、主人公に少女を据えたことによって、この上なく残酷で美しいおとぎ話が仕上がった。ローグの強烈な演出は、未開と文明との断絶、未だ性的に開放されることのない少女の生態を容赦なく暴く一方で、それ故に、それらが融和するほんのひととき――オアシスで少女が水面に遊ばせる裸身を、創造されなかった楽園への夢想を、震えるほど美しいものへと昇華させる。