表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。
高橋晶子
建築学科研究室
法隆寺最後の宮大工、故・西岡常一が語る「天」、西岡の弟子・小川三夫が語る「地」、小川の弟子たちが語る「人」の三部構成。
棟梁・西岡の語りは一本筋が通り清々しく、個人を超えた時間の後ろ盾を感じさせる。
伝統木造建築を通じて日本の伝統文化と日本人の自然観について語ることばは大きく響く。一本ずつ異なる木の癖を見極め適所につかうこと、多くの人の心を結集するのが棟梁の仕事という話は、人の育て方の真理。
師の背中を見ながら小川は自身の道を考え切り開く。「地」の語りは読者自身と重なってゆく。「天」だけでは偉人評伝となるのでぜひ「地」と対で読んでほしい。
長澤忠徳
デザイン情報学科研究室
学生時代に一時、建築家を志した夏目漱石は、大文豪であると同時に優れた思想家である。本書は、「私の個人主義」「道楽と職業」など5編の講演を文庫版にしたもので、英国留学で得た「自己本位」の思想、つまり近代個人主義思想を講じた講演録だ。創造的世界に生きようとする我々が、一世紀を経た今も考えるべき言説が詰まっている。私も、学生時代から何度も読み、今もなお、思索の源泉にしている。学生必読の一冊として勧めたい。
今井俊介
油絵学科研究室
助手
まず図版が美しい!それだけでも読む価値有り。絵画を読み解くための方法をやさしく教えてくれる一冊である。
「なぜヴィーナスは裸なのか?」「なぜ天使の羽は白いのか?」等の素朴な疑問に答えながら絵画の仕組みに迫っていく。
知っているようで知らなかった“絵画の文法”を理解して、絵画を読み解く楽しさを味わってみては?