本庄美千代
美術館・図書館
18世紀、19世紀の博物学黄金時代に西欧の探検家たちが挑んだ世界航海は、異文化の発見、採取、未知の文明とのコミュニケーションであった。また、博物学者や画家たちが未知の世界で見たものを記述した膨大な記録は、まさにヴィジュアル・コミュニケーションの集積でもあり、学問として博物学の興隆となった。また、アジアや日本の場合には江戸期中期の物産学の新興とともに医学と食用のための本草学がもてはやされた。本書は地球の東西に花開いた博物学の醍醐味をあますところなく考察した比較文明論でもある。これで博物学の成り立ちが総覧できる。
表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。
太田英輝
美術館・図書館
優れた建築について書かれた図書は数多くあるが、問題のある建築について書かれた図書は少ない。本書はその少数の1冊。かつてボストン大学学長を務めた著者は自らの経験も踏まえ、建築物や建築家を名指しして真に建築に、建築家に求められていることは何かを訴える。見た目の新奇性を求めるあまり機能性を軽視したデザインや施主の要望への無関心、無配慮なデザインの再利用や肥大するコストなど、現代建築家の傲慢さを糾弾する。
加藤徹志
美術館・図書館
廃墟と工場というそれぞれに熱烈なファンを多く持つ2ジャンルを1冊で堪能できる贅沢(?)な写真集。
一見まったく異なる分野に感じるが、形あるものを生み出すもの、壊れゆくもの、というつながりの中に諸行無常を感じることができる。
光と影が美しく廃墟を映し出しているが、無造作に残された生活の跡が何とも物悲しい。
まるで未来都市のようでもある夜の工場が放つ無機質な美しさも必見。