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book
#036

文明のなかの博物学:西欧と日本
上下巻

著者
西村三郎

出版者
紀伊国屋書店

出版年
1999年

 

表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。

本庄美千代

本庄美千代
美術館・図書館

博物学大流行の知られざる歴史と背景を読む

18世紀、19世紀の博物学黄金時代に西欧の探検家たちが挑んだ世界航海は、異文化の発見、採取、未知の文明とのコミュニケーションであった。また、博物学者や画家たちが未知の世界で見たものを記述した膨大な記録は、まさにヴィジュアル・コミュニケーションの集積でもあり、学問として博物学の興隆となった。また、アジアや日本の場合には江戸期中期の物産学の新興とともに医学と食用のための本草学がもてはやされた。本書は地球の東西に花開いた博物学の醍醐味をあますところなく考察した比較文明論でもある。これで博物学の成り立ちが総覧できる。

book
#035

不条理な建築 : 「天才」はいかにプラクティカル・アートをゆがめてきたか

著者
ジョン・シルバー著
中村研一訳

出版者
鹿島出版会

出版年
2011年

 

表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。

太田英輝

太田英輝
美術館・図書館

優れた建築からだけでなく、問題がある建築からこそ多くのことを学ぶことができる。

優れた建築について書かれた図書は数多くあるが、問題のある建築について書かれた図書は少ない。本書はその少数の1冊。かつてボストン大学学長を務めた著者は自らの経験も踏まえ、建築物や建築家を名指しして真に建築に、建築家に求められていることは何かを訴える。見た目の新奇性を求めるあまり機能性を軽視したデザインや施主の要望への無関心、無配慮なデザインの再利用や肥大するコストなど、現代建築家の傲慢さを糾弾する。

book
#034

廃墟/工場―彩やかな世界がここにある

著者
HEBU

出版者
インフォレスト

出版年
2008年

 

表紙画像は紀伊国屋書店BookWebのものを使用しています。

加藤徹志

加藤徹志
美術館・図書館

ファン垂涎の1冊

廃墟と工場というそれぞれに熱烈なファンを多く持つ2ジャンルを1冊で堪能できる贅沢(?)な写真集。
一見まったく異なる分野に感じるが、形あるものを生み出すもの、壊れゆくもの、というつながりの中に諸行無常を感じることができる。
光と影が美しく廃墟を映し出しているが、無造作に残された生活の跡が何とも物悲しい。
まるで未来都市のようでもある夜の工場が放つ無機質な美しさも必見。