制作者
ビクトル・エリセ
制作年
1992年
田中友紀子
美術館・図書館
イメージライブラリー
庭に植えたマルメロの樹を描こうと試みる画家アントニオ・ロペス=ガルシア。彼は樹と時間を共有し、実が熟し地に落ちるまでその変化に従い描き直し続ける。高い純度で凝縮された“見る”行為とキャンバスに集積していく時間の層。エリセは、その過程を時間の推移を捉えることができるムービーカメラによって静かに見つめ続ける。それ故に本作では時間軸において決定的に異なる絵画と映画が浸透しあい、その淡い幸福感は確実にフィルムに定着されている。
制作者
ビクトル・エリセ
制作年
2002年
板屋 緑
映像学科研究室
鳥の囀りと虫の羽音、遠くから犬の声、時折、缶を叩くような音、それらが聞こえるか聞こえないくらいまで低く抑えられ、全編に鳴っている。そこに振子時計の音が加わると、カメラはゆっくりと過去の家族の写真を見詰め、缶を叩くような音が際立つと、新聞のカットによって、その日がスペインにとって特別な日であることを報じる。そして、作業道具を叩く音と草を掃く音の反復によるリズムのうねりが、ひとつの子守唄という無時間的な夢の時間へ引き込んでいく。
制作者
ペトラ・フリーマン
制作年
1994年
田中 友紀子
美術館・図書館
イメージライブラリー
“Here am I, Little Jumping Joan, When nobody’s with me. I’m all alone.”
イギリスのアニメーション作家ペトラ・フリーマンがマザー・グースの詩「Little Jumping Joan」にインスパイアされて制作した作品。光と闇の境界が曖昧になる夕暮れ時、一人遊びをする赤いワンピースの少女が紡ぐ幽暗な世界を描き出しています。石膏板に直接描いて作り出されたイメージと浮遊するようなリズムが独特の余韻を刻みます。