2015年5月25日(月)-8月16日(日)
ポピュラー音楽の世紀
中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム
美術館 終了
19世紀末に発明されたレコードがひろく普及した20世紀を「ポピュラー音楽の世紀」と捉え、当館が所蔵する中村とうようコレクションのSP、LPなどのレコード資料や世界各地の楽器、音楽関連書籍によってその時代をたどる展覧会。会期中には、多彩なゲストが登場し、さまざまな視点から「ポピュラー音楽の世紀」を語りあう関連企画を開催する。
- 会期
- 2015年5月25日(月)-8月16日(日)
- 時間
- 10:00ー18:00(土曜日、特別開館日は17:00閉館)
- 休館日
日曜日、祝日
※6月14日(日)、7月20日(月・祝)、8月16日(日)は特別開館- 入館料
無料
- 会場
武蔵野美術大学美術館 展示室2、アトリウム1、武蔵野美術大学図書館
- 主催
武蔵野美術大学 美術館・図書館
- 監修
柏木 博(武蔵野美術大学造形文化・美学美術史教授)
企 画| 田中勝則(音楽評論家)
武蔵野美術大学 美術館・図書館にて、当館の中村とうようコレクションの中から、ポピュラー音楽の成り立ちに不可欠であったレコードや蓄音機、楽器などを中心に展示する、本コレクションならではのユニークな展覧会「ポピュラー音楽の世紀 ―中村とうようコレクションでたどる20世紀大衆音楽のダイナミズム」を開催します。
日本を代表する音楽評論家であり、レコードや楽器の収集家としても知られた故・中村とうよう氏(1932-2011)は、SP、LPなどのレコード資料や世界各地の楽器、音楽関連書籍など、5万点におよぶ膨大なコレクションを2006年に武蔵野美術大学 美術館・図書館に寄贈されました。
音楽評論の分野では、ジャズやロック、シャンソンやタンゴなど、評論家自身が専門とするジャンルを持ち、その音楽の研究を深めていくことが一般的であるなかで、中村とうよう氏は、ひとつのジャンルに留まらず、その総合体であるポピュラー音楽すべてを対象に研究、評論を進めてきました。世界のポピュラー音楽全体を貫く音楽論を論じ、書籍を執筆した最初の音楽評論家が中村とうよう氏であり、現在でもそれに続く書籍は、ごく一部の研究者によるものを除けば、ほとんど出版されていません。
19世紀後半に発明されたレコードという新しいメディアが、20世紀に入るとポピュラー音楽という現象をより具現化し、さらにラジオやテレビの登場が後押しとなって、時代を象徴する文化として大きな存在感を持つこととなりました。中村とうよう氏は、自身の音楽論のなかで20世紀の100年間を「ポピュラー音楽の世紀」と位置づけ、その時代に生み出されたポピュラー音楽の数々は、それ自体が20世紀という歴史上でも特異な時代のうねりを表現する存在であったと捉えています。
本展においても、そのような20世紀を「ポピュラー音楽の世紀」と捉え、膨大な中村とうようコレクションによって、ポピュラー音楽が熱く盛り上がった時代の躍動を振り返る展示を行います。20世紀に世界中で生み出された楽しい音楽が一堂に会するだけでなく、そのルーツにも迫る類例のない展覧会をご覧いただきます。
見どころ
1.20世紀に育まれた多彩なポピュラー音楽
本展において、展示空間の骨格部分を構成するのは、中村とうよう氏が生涯を通じてもっとも力を入れて収集してきたレコードの展示です。
レコードは19世紀後半に発明され、当初はトーマス・エジソンが発明した円筒形のもの(これを蝋管と言う)が主流でしたが、蝋管に取って代わって円盤型のレコードがポピュラーな地位を獲得します。当初はレコード会社によって回転数が違っていましたが、ある時期からほぼ毎分78回転に統一され、日本ではこれをSPレコードと呼びました。それらは、第二次世界大戦後には33回転のLPレコードに少しずつ代わり、1980年代後半にはCDが主流となります。本展では、それらすべてのメディアに収録されたさまざまな年代の音源を幅広い時間軸で取り上げ、さらにアメリカからヨーロッパ、アフリカ、アジアといった幅広い地域の音源を取り上げてトピック毎に紹介します。
また本展では、それらのレコードを再生する装置である蓄音機にもスポットを当てます。19世紀末の蝋管レコード時代の蓄音機にはじまり、狂騒の20年代(Roaring Twenties)と呼ばれ、アメリカが経済的に大きく花開いた1920年代に製作されたビクター社製蓄音機ビクトローラを取り上げます。さらに、日本における最初のレコード会社である日蓄(ニッポノフォン)が大正時代に作り出したラッパ付きの蓄音機など、多彩な蓄音機をその音色とともに紹介します。
2.ポピュラー音楽を生み出してきた楽器の数々
中村とうよう氏は、世界各地の土着的な楽器も幅広く収集しましたが、それ以上に力を入れて収集したものが、新しい音楽を生み出そうという人々の意欲がにじみ出ているように感じられる楽器の数々です。
アフリカの各地で現在も親しまれている親指ピアノや、アラブ世界の音楽アンサンブルの中心を担うウードをはじめ、さまざまな地域のポピュラー音楽の出発点となったギターおよびその系列の楽器も本コレクションの重要な部分です。本展では、このような20世紀のポピュラー音楽で使用されてきた楽器を特集します。
3.豪華ゲスト陣が多様なポピュラー音楽を語る
本展は、音楽評論家であり、中村とうよう氏とともに日本のワールド・ミュージックを牽引してきた田中勝則氏が企画を行い、さらに会場にて公開予定の映像コンテンツや会期中の関連イベントでは、日本の音楽評論の歴史を担ってきた方々に出演いただき、20世紀の多岐にわたるポピュラー音楽の世界を掘り下げていきます。
<映像コンテンツ出演者> (50音順)
靑野浩史(音楽プロデューサー)/大鷹俊一(音楽評論家)/岡田則夫(演芸評論家)/北中正和(音楽評論家)/サカキマンゴー(親指ピアノ演奏家)/マック杉崎(蓄音機研究家)/常味裕司(ウード演奏家)/萩原健太(音楽評論家)/濱田滋郎(音楽評論家)/ピーター・バラカン(ブロードキャスター)/山内雄喜(ハワイ音楽演奏家)/湯川れい子(音楽評論家)
出品作品
展示会場のタイムスケジュール[月曜日〜金曜日]
10:10-10:40 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
10:40-11:10 | 蓄音機の音色を聞いてみよう 会場に展示されているオルゴール、蝋管蓄音機、SPレコード蓄音機を実際に動かしてレコードをかけます。100年ものの音楽、当時の名演を当時の音色で体感できます。 |
11:10-12:10 | ラジオ番組『中村とうようのワールド・ネットワーク』 中村とうようさんは、1987年4月から1988年12月までラジオ番組「ワールド・ネットワーク」(ラジオ関西)のパーソナリティをつとめ、世界の幅広い地域、幅広い年代のポピュラー音楽を番組内で紹介しました。その選曲からは大著『大衆音楽の真実』(ミュージック・マガジン 1986年)を書き下ろしたばかりのとうようさんのジャンル横断的な視点を感じ取ることができます。ここでは、放送回からの抜粋を再放送します。 |
12:10-12:40 | リクエストタイム DJが展示中のレコードを会場でかけてくれます。聞いてみたいレコードをぜひリクエストしてみてください。 |
12:40-13:10 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
13:10-13:40 | 蓄音機の音色を聞いてみよう |
13:40-14:40 | ラジオ番組『中村とうようのワールド・ネットワーク』 |
14:40-15:10 | リクエストタイム |
15:10-15:40 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
15:40-16:10 | 蓄音機の音色を聞いてみよう |
16:10-17:10 | ラジオ番組『中村とうようのワールド・ネットワーク』 |
17:10-17:50 | リクエストタイム |
展示会場のタイムスケジュール[土曜日、特別開館日]
10:10-10:40 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
10:40-11:10 | 蓄音機の音色を聞いてみよう 会場に展示されているオルゴール、蝋管蓄音機、SPレコード蓄音機を実際に動かしてレコードをかけます。100年ものの音楽、当時の名演を当時の音色で体感できます。 |
11:10-12:10 | ラジオ番組『中村とうようのワールド・ネットワーク』 中村とうようさんは、1987年4月から1988年12月までラジオ番組「ワールド・ネットワーク」(ラジオ関西)のパーソナリティをつとめ、世界の幅広い地域、幅広い年代のポピュラー音楽を番組内で紹介しました。その選曲からは大著『大衆音楽の真実』(ミュージック・マガジン 1986年)を書き下ろしたばかりのとうようさんのジャンル横断的な視点を感じ取ることができます。ここでは、放送回からの抜粋を再放送します。 |
12:10-12:40 | リクエストタイム DJが展示中のレコードを会場でかけてくれます。聞いてみたいレコードをぜひリクエストしてみてください。 |
12:40-13:10 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
13:10-13:40 | 蓄音機の音色を聞いてみよう |
13:40-14:40 | ラジオ番組『中村とうようのワールド・ネットワーク』 |
14:40-15:10 | リクエストタイム |
15:10-15:40 | 映像上映『ポピュラー音楽の世紀』 |
15:40-16:10 | 蓄音機の音色を聞いてみよう |
16:10-16:50 | リクエストタイム |
映像上映『ポピュラー音楽の世紀』
本映像では、中村とうようさんとゆかりのある12名のゲストが出演し、トピック毎に20世紀の多岐にわたるポピュラー音楽の世界を掘り下げていきます。対談の聞き手は、中村とうようさんとともに日本のワールド・ミュージックを牽引してきた、本展企画の田中勝則さんがつとめます。
*12名のゲストと田中勝則さんとの対談内容のすべてが本展覧会図録に収録されています。
展示と併せてこちらも是非ご覧ください。
上映スケジュール
第1期 5/25-6/14 |
《私は1920年代の蓄音機の音が最高だと思っている》 出演:マック杉崎(蓄音機研究家) |
《たくさんある芸能も繋がりがわかってくると面白くなって、結局全部レコードを集めてしまいました》 出演:岡田則夫(演芸評論家) |
《私ととうようさんを最後まで結びつけたのがユパンキだった》 出演:濱田滋郎(音楽評論家) |
第2期 6/15-7/4 |
《時代が動いているそのリアル・タイムに「これが名作だ」と言い切れるとうようさんがスゴいよね》 出演:大鷹俊一(音楽評論家) |
《ハワイ音楽はどれも長調。笑顔しか見えない。私がハワイ音楽のもっとも好きなのはそこなんです》 出演:山内雄喜(ハワイ音楽演奏家) |
《もしウードが存在しなかったら世界の弦楽器はまったく違うものになっていた》 出演:常味裕司(ウード演奏家) |
第3期 7/6-7/25 |
《『ブラック・ミュージックとしてのジャズ』を読んで、それまでのジャズに対する価値観がガラガラと壊れてしまいました》 出演:靑野浩史(音楽プロデューサー) |
《ひとつの音楽に絞り込んだ視点でばかり捉えてゆくとつまらないよと、いつも教えてくださったのが、とうようさんだった》 出演:萩原健太(音楽評論家) |
《スマホに親指ピアノのアプリを作ってしまいました。リンバ・ライオンと言うんですよ(笑)》 出演:サカキマンゴー(親指ピアノ演奏家) |
第4期 7/27-8/16 |
《1966年6月のビートルズ公演で聞いた8000人の女の子たちの「キャー」は本当に美しかった》 出演:湯川れい子(音楽評論家) |
《アフリカのマリ音楽をはじめて聞いたとき、ブルーズとのつながりを直感的に感じました》 出演:ピーター・バラカン(ブロードキャスター) |
《知らないことを知ることが楽しいと思える音楽ファンには、ぜひワールド・ミュージックをお勧めします》 出演:北中正和(音楽評論家) |